欧州委、デジタル市場法に基づきクラウドコンピューティングサービスに関する市場調査を開始

(EU、米国)

調査部欧州課

2025年11月26日

欧州委員会は11月18日、デジタル市場法(DMA)(2022年7月19日記事参照)に基づき、クラウドコンピューティングサービスに関する3つの市場調査を開始した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

市場調査のうち2件は、クラウドコンピューティングサービスを提供するアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)とマイクロソフト・アズール(Azure)がDMAのゲートキーパー指定基準(1.規模、2.ユーザー数、3.市場における地位、注1)を満たしていないにもかかわらず、企業と消費者の間の重要なゲートウェイ(注2)として機能しているかどうかを評価する。3件目の市場調査は、DMAがEUのクラウドコンピューティング分野における競争力と公平性を阻害する可能性のある慣行に効果的に対処できるかどうかを評価する。

現在、クラウドコンピューティングサービスはゲートキーパーとして指定されているコアプラットフォームサービスには入っておらず、調査結果によりAWSとAzureがDMAにおける重要なゲートウェイに該当することが判明した場合、ゲートキーパーとしてリストに追加される。

調査内容は、クラウドコンピューティングサービス間の相互運用性における障害、ビジネスユーザーのデータへのアクセスの制限または条件付きアクセス、サービスの抱き合わせやバンドル、契約条件の不均衡の可能性など。

欧州委は、市場調査を12カ月以内に完了することを目標とし、AzureおよびAWSがクラウドコンピューティングサービスのゲートキーパー指定基準を満たしていると判断した場合、その後両社は、DMAの義務を完全に順守するために6カ月以内に措置を講じる必要がある。

また、DMAのクラウド市場への適用に関する市場調査の結果、クラウドに関するDMAの義務の見直しが提案される可能性がある。

(注1)ゲートキーパーの基準はジェトロ調査レポート「EUのオンラインプラットフォーム政策の概要 EUデジタル政策の最新動向(第3回)PDFファイル(643KB)」(2023年2月)の33ページを参照。

(注2)ゲートウェイとは、企業や消費者がクラウドサービスや関連市場にアクセスするための主要な接続口となることを意味する。

(坂本裕司)

(EU、米国)

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