米国の学生向けに日系企業で働く魅力を発信、インディアナ州でキャリアイベントを開催
(米国、日本)
シカゴ発
2025年11月26日
ジェトロは米国インディアナ州で11月15日、在シカゴ総領事館と共催で現地学生向けに日系企業の特色や事業内容、日系企業で働く魅力を理解してもらうためのキャリアイベントを開催した。同州の大学・大学院などで日本語を学ぶ学生約200人が参加した。在インディアナの日系企業に勤める現地スタッフによる講演のほか、参加学生向けにトヨタ、ホンダ、スバル、アイシン精機など日系企業8社が参加し、学生向けに自社の魅力をアピールした。
全米の製造業就業者数は、1979年の約1,960万人をピークに減少基調にあり、2024年末時点では約1,260万人と、民間部門雇用に占める割合は1割を下回る水準となっている。また、10代の若年層を中心に製造業への就職に興味がないとする回答が過半を超えるなど、製造業が集積する中西部は日系メーカーにとっては需給ギャップが大きな課題の1つだ。
冒頭あいさつで、インディアナ経済開発公社(IEDC)のトニー・デンハート副総裁は「インディアナには300社超の日本企業が進出しており、日本は州にとって最大の海外投資国だ。先端製造業や自動車産業など州の主要産業を支えており、学生の皆さんがキャリア形成するうえでも重要な選択肢の1つとなる」と述べた。
ジェトロの「2024年度海外進出日系企業実態調査(北米編)」でも、長引くインフレに伴う従業員の賃金上昇、採用・定着率など、雇用面の問題を経営上の課題の上位に挙げる企業が多い。トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・インディアナで財務責任者を務める沼生理氏は「米国の若手人材による製造業への関心が薄れているのは事実。サプライチェーン全体で優秀な人材を確保していくことが重要」と話す。
一方、アイシン精機で物流管理を担当するケイレブ・スウィフト氏は、日系企業で働く魅力について、「現場での 『カイゼン』 に向け、チームワークを大事にする企業カルチャーは他にはない素晴らしい点」とコメント。イベントに参加した同州のパデュー大学の学生は、「アニメや漫画への興味から現在日本語を学んでいるが、日本企業は研修システムが充実しており、社会人としてのキャリアを積むにはとても良い環境がそろっている」と話す。日系企業ならではのきめ細やかな教育・訓練システムをいかに丁寧に説明し、理解してもらうかが、持続的な体制整備のために重要なカギになるといえそうだ。
在インディアナ日系企業によるプレゼンテーション(ジェトロ撮影)
企業ブースに集う学生(ジェトロ撮影)
(塩野達彦)
(米国、日本)
ビジネス短信 8bdb36e318057cca




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