トヨタ、マハーラーシュトラ州と技能育成で覚書締結

(インド)

ムンバイ発

2025年11月26日

トヨタ自動車のインド法人トヨタ・キルロスカ・モーター(TKM)は11月20日、マハーラーシュトラ(MH)州政府と州内の工業訓練所(ITI)の技能育成体制を強化する覚書(MoU)を締結したと同社ウェブサイトで発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2030年までに州内36地区45カ所を支援し、若者の就業力向上を図る。

TKMは既にインド南部のカルナータカ州ビダディで2つの工場を操業し、2026年の稼働を目指して第3工場の建設を進めているほか、2024年7月にはMH州政府とチャトラパティ・サンバジナガール(旧オーランガバード)での新工場設立検討に係るMoUを締結、2025年7月には同市に地域事務所を開設している(2024年8月9日2025年7月9日記事参照)。MH州での製造拠点検討や地域事務所開設に続き、人材育成分野でも協力が広がっている。今回のMoUは、同社がカルナータカ州で実施してきた技能育成プログラムを基に、教員育成、技能向上セッション、ビダディ工場での研修などを柱とする。

同社の発表によれば、本プログラムは3段階で展開される。第1段階(2025〜2026年)はマラトワダおよびナグプール地区の16カ所を対象とし、第2段階(2026〜2028年)にアムラバティおよびナシック地区へ拡大、第3段階(2029〜2030年)ではムンバイおよびプネ地区に対象を広げる。

具体的には、基礎技能訓練キット、手先訓練モジュール、視覚教材など産業ニーズに沿った教材を提供するほか、長期的な持続性を確保するため、倫理教育や規律訓練、トヨタが世界的に採用する5S・安全プロトコル(注)など、いわゆる「身体と精神」の育成も重視する。

マンガル・プラバット・ローダ州技能担当相は「トヨタの知見により州内の若者の産業技能と職場能力が高まり、生活向上につながる」と述べた。TKMのビクラム・グラティ上級副社長は、農村部の若者の能力向上が地域社会の成長につながるとし、同州のスキリング基盤強化を進める考えを示した。

(注)5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)と、トヨタがグローバルで採用する安全管理手法の総称。

(篠田正大)

(インド)

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