日系企業METRA BCCJP、中間所得層向けの不動産プロジェクトを発表
(カンボジア)
プノンペン発
2025年11月25日
日系企業のMETRA BCCJPは11月16日、カンボジアのプノンペン郊外で中間所得層をターゲットにした一軒家タイプの不動産開発プロジェクト「METRA」を発表した。プノンペン中心部から12キロメートル、車で約40分の郊外に位置するプレークタメイ地区にて、33ヘクタールの土地に、2,700戸以上の物件を供給する計画だ。
プノンペンの住居は、一般的にアパートやコンドミニアムなどの集合住宅か、または「ボレイ」と呼ばれる土地付き戸建て住宅のいずれかを選択することが多い。METRA BCCJP会長の永田哲司氏によると、カンボジア人はマンションよりも土地購入を好む傾向にあるが、プノンペンで販売されているボレイの価格帯は、最低でも十数万ドルが相場で、都市部では中間所得層の手の届く物件が供給されていないという課題があった。
今回発表されたMETRAの販売価格は、住宅タイプによって5万ドルから7万5,000ドルに設定されており、平均月収1,000ドル以上の若いファミリー層をターゲットにしている。シンガポール系のフィリップ銀行(Phillip Bank)と提携し、低利の住宅ローンも提供の予定だ。
サイ・ソムアル副首相兼国土整備・都市化・建設相(写真中央)の「METRA」プロジェクト訪問の様子(ジェトロ撮影)
永田氏は、「イオンモール1号店が開業した2014年ごろから、プノンペン中心部の土地価格が急騰し、富裕層の拡大に伴って高級住宅物件の供給が増加した。一方、プノンペンの人口の4割を占める中間所得者層向けの住宅供給は非常に少なく、供給があっても小規模で品質の低い開発が散見された」と述べた。さらに、「われわれは中間層向けに特化した大規模開発を通じて、質が高く、かつ手頃な住宅を数多く供給することで、今後も人口拡大が見込まれる中間層に、より多くの住宅を提供できるよう貢献していきたい」と話した。
同社によれば、今回発表した「METRA」プロジェクトは、建築資材を大量に事前発注することで、調達コストを2~3割カットするなど、大規模プロジェクトの利点を生かした取り組みが特徴だ。素材の質にもこだわっており、例えば、フローリングなどの床材は、人工タイルを使わず、100%天然の石をカンボジアのクラチェ州から運び使用しているという。
なお、現地報道によれば、カンボジアでは、経済財務省(MEF)は、2025年12月31日まで、住宅価値が21万ドル以下の不動産取引にかかる印紙税を免除する措置を発表するなど、住宅購入を後押ししている。
(ニティー・ヘン)
(カンボジア)
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