ブラジルのスタートアップ企業re.greenが、AIによる森林再生技術でアースショット賞を受賞
(ブラジル)
調査部米州課
2025年11月10日
ブラジルのリオデジャネイロ市で11月5日、地球環境保護に貢献する革新的な取り組みを表彰するアースショット賞の授賞式が行われ、ブラジルのスタートアップ企業re.greenが、「自然の保護と回復(Protect and Restore Nature)」部門で表彰された。
アースショット賞は、地球規模の課題解決を目的に、2020年に英国王立財団によって設立された。気候変動や大気汚染といった環境課題の解決に取り組む個人、団体、企業、自治体などの中から「自然の保護と回復(Protect and Restore Nature)」「空気の浄化(Clean Our Air)」「海洋の回復(Revive Our Oceans)」「廃棄物のない世界の構築(Build a Waste-Free World)」「気候変動の修復(Fix Our Climate)」の5つの分野で受賞される。11月10日から21日にかけてベレン市で開催される国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)の前哨戦としても注目が集まっていた。授賞式には、英国のウィリアム皇太子も出席した。ウィリアム皇太子のブラジル公式訪問は初で、COP30への出席も予定されている。
re.greenは、人工知能(AI)を活用した独自の森林再生技術を有する。同社は、AI、ドローンや衛星画像を活用し、最も再生可能性の高い土地を迅速に特定することによって、効率的に森林再生を可能にする。2021年の設立以来、ブラジル国内の3万ヘクタールを再生可能な土地と認定し、そのうち、1万2,000ヘクタールにおいて既に600万本の苗木の植樹に成功している。2032年までには、6,500万本の植樹を行うことを目指している。同社はまた、2025年7月、食品・飲料大手のネスレと共に、カカオやコーヒーの生産地として有名なブラジル北東部バイーア州に位置する2,000ヘクタールの大西洋岸森林の再生に取り組むことを発表した。対象となる地域は、世界でも最も生物多様性が高いにもかかわらず、生態系の保存において脅威にさらされているという。この森林再生プロジェクトにおいてre.greenは、土地のマッピング、計画立案、在来種の栽培、長期的なモニタリングなど、技術的なプロセス全体を担当する。
11月6~7日にサンパウロ市で開催された、「持続可能なイノベーションフォーラム(Sustainable Innovation Forum)2025」に登壇した、re.greenのマリアナ・バルボーザ氏は、受賞の喜びを語るとともに、データ分析による効率的な森林再生の重要性を強調した。また、気候変動は実際に今起きていることであり一日も早い解決が求められるため、環境課題解決には、「効率的な対応が必要」と述べた。
持続可能なイノベーションフォーラム2025に登壇したre.greenのマリアナ・バルボーザ氏(中央)(ジェトロ撮影)
(辻本希世)
(ブラジル)
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