アンドラ・プラデシュ州で投資誘致カンファレンス開催
(インド)
チェンナイ発
2025年11月19日
インド南部のアンドラ・プラデシュ(AP)州の最大都市ビシャカパトナムで11月14~15日、投資誘致カンファレンス「パートナーシップサミット」が開催された。インド中央政府の商工省産業国内取引促進局(DPIIT)、AP州政府、インド工業連盟(CII)が共催した。
開会式には、中央政府からC.P.ラダクリシュナン副大統領や、ピユシュ・ゴヤル商工相、キンジャラプ・ラムモハン・ナイドゥ民間航空相に加え、2人の閣外大臣も参加した。AP州政府からはサイード・アブドゥル・ナジール州知事、チャンドラバブ・ナイドゥ州首相、T.G.バーラト州商工・食品加工相や、州政府閣僚3人の合計6人が出席した。2020年の新型コロナウイルス感染症のまん延以降、地方でこの「パートナーシップサミット」が開催されたのは初めてだ。AP州のナイドゥ州首相が率いるテルグ・デーサム党(TDP)がインド議会下院でナレンドラ・モディ首相率いるインド人民党(BJP)と連立関係であることからも、中央政府肝いりの投資誘致カンファレンスであることがうかがわれた。
開会式で左から、ゴヤル商工省、ナジールAP州知事、ラダクリシュナン副大統領、ナイドゥAP州首相(ジェトロ撮影)
主催者としてあいさつに立ったゴヤル商工相は、インドは独立100年となる2047年までに30兆~35兆ドルのGDPを達成し、先進国入りを目指していると述べた。対外関係では、アラブ首長国連邦(UAE)、オーストラリア、モーリシャスと自由貿易協定(FTA)を締結し、EU、米国、オマーン、ニュージーランド、チリ、ペルーと貿易協定の協議を進めていると述べた。その上で、海外との協業を進めるために、双方向の投資を通じた貿易参入障壁の低減や、技術提携の強化、透明で予測可能な政策が必要との認識を示した。
ナイドゥ州首相は主催者として、海外72カ国・地域からの来訪者522人を含む延べ2,500人の参加者に歓迎の意を表した。AP州がビジネスのしやすさ(ease of doing business)でトップランクの州であることを強調した上で、今後さらなる高みを目指して、ビジネスの迅速化(Speed of doing business)にも注力すると述べた。企業がAP州政府と覚書(MoU)を結んだプロジェクトは州政府公認のプロジェクトとして扱い、課題などを直ちに解決する意向を示し、AP州への投資を呼びかけた。特に航空宇宙(ドローンを含む)や、エレクトロニクス(半導体を含む)、防衛産業を重点産業として言及し、2年以内に量子コンピュータを州内企業に提供することや、取引保全口座(エスクローアカウント)を導入することで、他州との比較で優位なビジネス環境を提供する意向を示した。
地元メディアは、会期中に613件、総額13兆2,561億7,000万ルピー(約22兆5,355億円、1ルピー=約1.7円)のMoUを締結したと報じている(「ヒンドゥー」紙11月15日)。
日本企業のAP州への進出は、タミル・ナドゥ(TN)州との州境に位置するスリ・シティ工業団地に集中している(製造拠点として26社)が、これまで投資優遇措置の税還付の遅れや、頻繁に発生する停電、毎年の 固定資産税の値上がりなどの課題を抱えている。今回のカンファレンス開催で、これらビジネス環境が改善に向けて動き出すことが期待される。
(白石薫)
(インド)
ビジネス短信 7fb2467f4660f032




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