アジア方面に強み、長野からのアクセス向上する清水港

(日本、アジア)

諏訪発

2025年11月19日

ジェトロ長野・諏訪支所は11月12日、静岡県の清水港で貿易実務講座特別編を開催した。税関業務や港湾施設を視察し、輸出入の仕組みを学ぶ見学会で、X線検査場、コンテナターミナル、梱包(こんぽう)物流センターを巡った。清水港は、中部横断自動車道の開通により長野からのアクセスが向上。諏訪市から見ると、最も近い国際貿易港であり、注目が高まっている。

清水港管理局によると、完全予約方式による効率的な港湾運営、遠隔操作可能な荷役機器の導入、大型コンテナ船2隻が同時接岸できる新興津地区などが清水港の特徴だという。また、清水港は世界22航路・14カ国・43港と接続し、特にアジア方面へのサービスが充実している。名古屋税関清水税関支署からは、関税の適正・公平な徴収、不正薬物の取り締まり、貿易円滑化の取り組みについて紹介があり、参加者が税関業務の重要性を理解する機会となった。

午後は、全国で15カ所のみ設置されている大型X線検査装置を視察。約10分という短時間で、コンテナを積んだトラックごと検査できる、その性能に驚きの声が上がった。清水港のコンテナ取扱量は2024年時点で51.4万TEU(注)と国内9位の取り扱い数量を誇り、輸出比率は45%だ。また、岸壁ではガントリークレーンによる積み込み・積み下ろし作業を見学。荷役現場を間近で見ることで、「普段は他の港を利用しているが、清水港でのコンテナ取り扱いの様子を知る良い機会になった」との声もあった。

写真 ガントリークレーンによる荷役作業見学の様子(ジェトロ撮影)

ガントリークレーンによる荷役作業見学の様子(ジェトロ撮影)

同港の梱包物流センターでは、貨物のパレット固定やコンテナ詰め作業を確認し、輸送前の工程を学んだ。

写真 コンテナへの貨物搬入作業見学の様子(ジェトロ撮影)

コンテナへの貨物搬入作業見学の様子(ジェトロ撮影)

参加者からは、「自社の輸出では混載輸送が多いため、コンテナのサイズ感を体感できたのは貴重だった」「想像以上のコンテナの量に圧倒された」などの声が寄せられ、現場視察を通じて港における貿易実務への理解が一層深まったほか、清水港の規模感やスピード感の把握につながった。

(注)TEU(Twenty-foot Equivalent Unit、20フィートコンテナ換算)とは、輸送用コンテナの大きさを表す。1TEUは長さ20フィート、幅8フィート、高さ8.5フィートの輸送用コンテナのことを指し、貿易容量のコンテナ換算量を表す。

(荒井慎哉、町田早弥香)

(日本、アジア)

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