ペットフード生産量全国トップの山東省青島でアジア太平洋ペット祭典開催

(中国)

青島発

2025年11月07日

第1回「2025アジア太平洋ペット祭典および青島ペットカーニバル」が10月23日から26日まで中国・山東省青島市の青島国際博覧センターで開催された。いなば食品(中国名「伊納宝」)、ロイヤルカナン、ネスレ(プロプラン)など中国内外の約230社が出展し、展示面積は3万2,000平方メートル、来場者数は4万4,631人に達した。

山東省は、中国のペットフード生産でトップの地位を占める。中国飼料工業協会(農業農村部傘下の事業単位)によると、2024年の中国全体のペットフード総生産量159万8,529トンのうち、山東省は56万6,119トン(おやつを除く)を生産し、全国シェアは35.4%に達した。

また、中国の企業情報サイト「企査査」によると、山東省内にはペットフード関連企業が全国の約5%に相当する24万4,700社存在する。さらに、青島税関のデータによると、2024年の山東省のペットフード輸出額は前年比15.1%増の105億4,000万元(約2,213億円、1元=約21円)で、全国の47.9%を占めた(「山東商報」9月9日)。

本展覧会の主催者である青島金諾国際会展の劉真・総括責任者は、中国のペット市場の傾向について「2019年ごろから国内ブランドが台頭し、ペットフードのブランド数は2024年には3倍に増加した。日本ブランドは高品質な製品の代表として認知されている。近年は猫の飼育が増え、ペットフード市場を牽引している。2024年は爬虫(はちゅう)類や小型動物が人気で、2025年はインコが流行している」と語った(注1)。

いなば食品の孫楽・プロジェクトマネージャーは、本展示会への出展の経緯などについて「当社は2004年に設立された青島市の地元企業として青島市政府から招待を受け、同市や周辺都市での認知度向上を目的に出展した。ペットフードの分野では中国ブランドの麦富迪、頑皮、中寵、翡冷翠などが急速に台頭しており、消費者の認知度も非常に高い。当社は『ちゅーる』などの猫用商品が売り上げの7割を占め、種類や味の豊富さが強み」と述べた。

地元ブランド翡冷翠の市場運営責任者は、ブランド数の増加などについて「ペット人気を背景に、ネスレ(中国名「雀巢」)、アパレルメーカーの森馬(Semir)など参入が続いている。資本力で市場を奪う例もあるが、それのみではコア競争力がないため持続性に欠ける。新規参入企業の平均寿命は1年程度とされる。当社の顧客の3割以上は多頭飼い(2頭以上同時に飼うこと)で、ペットフードの原材料や製造工程への関心が高い」と話した。

山東省には聊城市、イ坊市(イはさんずいに維)、臨沂市、煙台市、泰安市などに計6つのペット産業園があり、畜産業大省(注2)としての原料供給力と完成された産業チェーンが強みとなっている。今後、今回のイベントが山東省におけるペットビジネスの新たな交流の場として発展することが期待される。

写真 いなば食品のブースの様子(ジェトロ撮影)

いなば食品のブースの様子(ジェトロ撮影)

写真 翡冷翠ブースの様子(ジェトロ撮影)

翡冷翠ブースの様子(ジェトロ撮影)

(注1)取材日2025年10月23日。以下同。

(注2)2024年の山東省の家禽(かきん)出荷量は前年比13.5%増の35億2,170万羽で、全国シェアの20.3%を占めた。2位は広東省の同3.6%減の13億2,439万羽で、全国シェア7.6%だった。

(皆川幸夫)

(中国)

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