メキシコ、2035年までのGHG排出目標を発表
(メキシコ、ブラジル)
メキシコ発
2025年11月28日
メキシコの環境天然資源省(SEMARNAT)は、11月10~22日にブラジルで開催された国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)において、2035年までの温室効果ガス(GHG)排出目標を発表した。
同目標は、COP30において提出された「国が決定する貢献(NDC)」の中で発表された。NDCは、パリ協定の枠組みにおいて各国が国際社会に対して提示する気候変動対策の総称で、全ての締約国が温室効果ガスの排出削減目標を5年ごとに提出・更新する義務があり、メキシコにおいては11月4日に気候変動に関する省庁間委員会(CICC)(注1)で承認され、COP30においてアリシア・バルセナ・イバラ環境天然資源相が発表した。
具体的には、GHGの排出目標を、2035年時点で無条件(メキシコ国内のリソースのみで達成を目指す)の場合には3億6,400万~4億400万トンCO2(二酸化炭素)相当、条件付き(資金や技術移転などの国際的な協力を得ることができる場合)では3億3,200万~3億6,300万トン相当とした。また、ブラックカーボンの排出目標についても、無条件下で3万5,800~3万9,700トン、条件付きで3万2,600~3万5,799トンに設定された。
NDCの第2版(注2)と比較して今回のNDCにおいては、2050年までにメキシコがGHGの実質排出量をゼロにする長期目標(注3)に基づき、温室効果ガスの排出目標が絶対数値で示された。また、新たに「気候変動に伴うリスクと影響」「テーマ横断的な気候変動政策」「環境整備と実施手段」といった章が新たに追加されるかたちとなった。
(注1)CICCは、気候変動に関する連邦政府機関間の調整を行う委員会で、SEMARNATなどの14の省庁から構成される。
(注2)NDCは2015年に初版が発表され、2020年の第2版(2022年に一部改定)を経て今回で3版目となる。第2版においては、温室効果ガス削減の目標を2030年までに無条件下で35%、条件付きでは40%と示されていた。なお第3版においては、2035年までの数値目標を達成することができれば、第2版で掲げた2030年までに温室効果ガス35%削減という目標も達成される見込みとしている。
(注3)メキシコはCOP29において、2050年までにGHGの実質排出量をゼロにするとの公約を発表している(2024年11月29日記事参照)。
(原大智)
(メキシコ、ブラジル)
ビジネス短信 62fb712ae9bf8289




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