第5回の2国間ビジネス投資委員会開催、税務署の遡及検査や遡及課税など課題解決を要請
(エジプト、日本)
カイロ発
2025年11月14日
エジプトのカイロで11月11日、「第5回日エジプトビジネス投資促進委員会」が開催された。日本側は岩井文男・駐エジプト日本大使、エジプト側はエジプト投資・フリーゾーン庁(GAFI)のホッサム・ヘイバ長官が代表を務め、政府機関や企業が参加した。日本商工会議所国際部が事務局を務める日本・エジプト経済委員会でもオンライン中継された。
2024年10月から日本大使館、GAFI、エジプト日本商工会(JBA)、ジェトロが月例ワーキンググループ(WG)を開催(2024年9月17日記事参照)。ジェトロがJBA企業を個別訪問し、税務署や社会保険庁による、10年程度遡及(そきゅう)する検査や遡及課税問題などを聴取してWGに提出、GAFIはそれら問題を所管官庁の上層部にかけあい、企業とWGを交えた協議による解決の場を設けてきた。
2025年10月末までに取り扱った個社個別の課題14件のうち、WGで10件解決したことが報告された。2年目の活動目標は、(1)JBA企業側の主張をエジプト当局により多く受け入れてもらうこと、(2)解決に要する時間の短縮、(3)企業により安心してWGに問題を持ち込んでもらえるようWGの実績を積み、不意の遡及課税や還付遅延を防ぐことだ。
税務署との間で抱える課題としては、(1)遡及検査や遡及課税のため追徴や延滞税が高額になること、(2)その計算根拠が示されないため現地法人が本社に理由を説明できないこと、(3)法人税、被雇用者の個人所得税、源泉徴収税(WHT)、付加価値税(VAT)など税目ごとに異なる税務署の部署から別々に検査が入り、対応に過大な負担がかかることが挙げられた。
WHTについては、2023年第30号法律により、期間3年超の融資を国外の貸主に返済する際、支払利息に対して20%のWHTが課せられることがJBA企業の問題になっている。エジプトが米英中仏やサウジアラビアと締結している租税条約ではWHT免税と定められているが、日本との租税条約では免税とならないため、国際協力銀行などから融資を受ける場合、他国企業に比して著しく不利になる。
税関に関しては、(1)機械設備や原材料の輸入通関で検査に数週間要すケース、(2)輸出時にVATが還付されない問題が指摘された。
9月1日付投資・貿易大臣令2025年第382号は、日本企業の投資を促進すべくGAFI内に「日本投資モニタリングユニット」設置を定めた。GAFIの中で、特定の国の企業を支援するために設立したのは日本が初だ。同ユニットは、日本企業が直面している問題をGAFI長官に随時直接提出し、投資・貿易相に月次報告書を提出すると定められている。
JBAの井上宏樹会長(双日エジプト社長)は、日本企業とエジプト当局の継続的な協力と行政手続き改善により、両国の経済関係が一層強化されると説明した。
(西澤成世)
(エジプト、日本)
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