デンマーク、ウクライナの文化遺産修復を支援へ

(デンマーク、EU、ウクライナ、英国、アイスランド、ノルウェー、スイス、ハンガリー)

デュッセルドルフ発

2025年11月06日

EU議長国を務めているデンマーク政府は11月3日、欧州各国の文化・メディア担当相とウクライナの代表者が出席した非公式会合にあわせ、ロシアによる侵攻で被害を受けたウクライナ国内の文化遺産の修復のための再建資金約1,000万デンマーク・クローネ(約2億3,700万円、DKK、1DKK=約23.7円)を寄付すると発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(注)。

同会合に出席したウクライナのテティアナ・ベレズナ文化相によると、2022年から始まったロシアによる侵攻により、1,612の文化遺産建造物が被害を受け、そのうち27の建造物については修復不可能なほどまでに破壊されたという。

デンマーク政府による無償資金は、損傷した文化遺産の建築物、記念碑、博物館の修復に充てるため、今回ウクライナに新設された「ウクライナ文化遺産基金」を通じて配分される。デンマークのヤコブ・エンゲル=シュミット文化相は、ウクライナの文化遺産の復興にデンマークが主導的な役割を果たすことを誇りに思うと述べるとともに、ウクライナ国民が自らの文化や言語、国家形成の価値観や場所へのつながりを守る権利を支援することの重要性を強調し、各国も同様の支援に取り組むよう促した。

また、ベレズナ文化相は、デンマーク政府の支援に感謝を伝えるとともに、「ウクライナ文化遺産基金」を新設した背景を説明し、同国の文化遺産の保護だけでなく、アイデンティティーとレジリエンスの礎となる文化の持続的な発展に向け、継続的な支援を訴えた。

一方、同会合の結果、欧州側の足並みは必ずしもそろったものとはならなかった。翌4日に発表された欧州の民主主義を守るための文化とメディアの必要性に関する共同声明は、EU加盟27カ国のうち26カ国と英国、アイスランド、ノルウェー、スイス、ウクライナが署名したものの、ハンガリーは同意しなかった。

(注)寄付は、デンマーク議会の承認を経た上での実施となる。

(安岡美佳)

(デンマーク、EU、ウクライナ、英国、アイスランド、ノルウェー、スイス、ハンガリー)