医療水準向上目指し、国際大学病院複合施設をラバトに新設
(モロッコ)
ラバト発
2025年11月10日
モロッコ国王モハメッド6世は11月3日、ムーレイ・エル・ハッサン皇太子とともに、ラバトに新設された国際大学病院複合施設「モハメッド6世病院」の開院式を執り行った
。
本施設は、高度医療サービスの提供と医療人材育成を統合した国際的にも先導的な拠点として設計されており、モロッコの医療水準向上と医療アクセスの公平性確保を目的としている。建設はモハメッド6世健康科学財団(FM6SS)
が主導した。
病院部門は初期600床、最大1,000床まで拡張可能で、30以上の専門診療科(ロボット手術、脳神経外科、腫瘍学、放射線治療など)を備える。また、アフリカ初となるPET-MRI(注1)装置や、完全自動化検査ラボ、デジタル病理検査施設など、先端医療機器が導入されているという。
併設のモハメッド6世健康科学大学は、最大8,000人の学生を収容可能で、医学・歯学・薬学・獣医学・医療工学などの学部を設置。臨床現場と連携した教育体制が整備されており、国際医療シミュレーションセンターも併設されている。
施設はHQE(高品質環境)認証
(注2)で特別レベル(Exceptional)を取得し、8,800平方メートルの太陽光パネルによるエネルギー供給や二酸化炭素(CO2)排出40%削減など、環境配慮型設計が特徴だとしている。
また、同日、国王はアガディールのモハメッド6世大学病院センター(CHU)の稼働開始も指示。867床規模の同施設には、アフリカ初のロボット手術「Revo I」が導入されており、地域医療の質向上と雇用創出に貢献するとしている。
(注1)MRI検査による「病巣の形・大きさ」とPET検査による「がん細胞などの活動状態」の情報を同時に取得できる画像診断技術。
(注2)HQE認証:フランス発祥の建築物・都市開発に関する環境性能評価システム。建物の建設から運用、解体に至るライフサイクル全体で、環境への負荷を低減し、持続可能性を高めることを目指す。評価項目は エネルギー効率、快適性(健康的な室内環境、十分な換気など)、環境に優しい資材の使用、廃棄物管理といった多様な側面が対象となる。地域の特性やプロジェクトの具体的な状況に応じて柔軟な目標設定が可能で、LEED(米国)やBREEAM(英国)などと並ぶ国際的な環境認証制度の1つ。
(鈴木優香)
(モロッコ)
ビジネス短信 5e08b099487af07e




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