APEC首脳会合で「慶州宣言」が採択、AIや人口構造変化への対応協力にも合意
(韓国、中国、香港、台湾、シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランド、米国、カナダ、メキシコ、ペルー、チリ、ロシア、日本、ブルネイ、パプアニューギニア)
ソウル発
2025年11月05日
韓国南部の慶州市で10月31日から11月1日までの2日間、APEC首脳会議が行われ、「慶州宣言
」が採択された。また、そのほかに「APEC AI(人工知能)イニシアティブ
」と「人口動態の変化に関するAPEC協力枠組み
」が採択された。
韓国の大統領室によると、韓国はAPEC議長国(注)として1年間で14回の閣僚級会議を開催し、首脳会議当日まで各文書の内容の合意のために難しい交渉を進め、米国、中国、ロシアなどの立場の違いを調整した結果、3件全て合意を導き出すことができた。
大統領室は、各文書の内容について次のように説明している。
【慶州宣言】
- 今回のAPECの3大重点課題である連結(Connect)·革新(Innovate)·繁栄(Prosper)を基本的な枠組みとし、貿易·投資、デジタル·革新、包容的成長などAPECの核心的な懸案に対する主要議論を包括した。
- 国際経済の不確実性が増大する中で、21カ国・地域(エコノミー)が主要なグローバル経済の懸案に対して包括的協力の方向性を提示したこと、アジア太平洋地域の経済の繁栄のために共に努力していく土台を作ったことは評価に値する。
【AIイニシアティブ】
- AIイニシアティブは、すべてのエコノミーがAIトランスフォーメーションの過程に参加し、AI技術の発展の恩恵を共有できるように、AIによる革新を通じた経済成長の促進、AIの恩恵の普及、民間の回復力のあるAIインフラ投資拡大などを主要内容として盛り込んだ。
- AIイニシアティブはAPEC初の明文化されたAI共同ビジョンであり、米国や中国など全てのエコノミーが参加したAIに関する最初の首脳級合意文。特に、「AI基本社会の実現」と「アジア・太平洋AIセンターの設立」など、韓国政府のAI基本政策と具体的なAI協力方案を反映している点で意義がある。
【人口動態の変化に関するAPEC協力枠組み】
- 人口動態の変化に関するAPEC協力枠組みは、少子高齢化などの人口構造の変化が域内共通の課題であるという認識に基づいて設けられた、APEC初の包括的な人口協力イニシアティブ。
- 同枠組みには、強靭な社会システムの構築、人的資源開発の現代化、技術基盤の保健·介護サービス強化、すべての人々の経済力向上、域内対話·協力促進の5大重点分野別の政策の方向性と協力方案が盛り込まれた。
次回の2026年は中国が議長国を務め、深センで開催されることが発表された。また、今後の議長国として、2027年ベトナム、2028年メキシコ、2030年シンガポール、2031年日本などが発表された。
(注)韓国が議長国となるのは2回目で、前回は2005年に釜山で開催された。
(橋爪直輝)
(韓国、中国、香港、台湾、シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランド、米国、カナダ、メキシコ、ペルー、チリ、ロシア、日本、ブルネイ、パプアニューギニア)
ビジネス短信 5a469267b230fc4f




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