「BIO-Europe 2025」がウィーンで開催、過去最大規模となり欧州各国が存在感をアピール
(オーストリア、欧州)
海外展開支援部販路開拓課
2025年11月26日
オーストリア・ウィーンで11月3~5日(リアル会期)、11月11~12日(オンライン会期)に、欧州最大のバイオ医薬品分野の国際展示会「BIO-Europe 2025」(主催:Informa)が開催された。2025年は12年ぶりのウィーン開催となり、同国には一般的にメガファーマと認知される企業の本社は存在しないものの、60カ国以上から約6,000人が来場し、参加企業数は約3,200社以上にのぼった。これは1995年から続く本展示会史上、過去最大規模の開催だ。
本展示会は、毎年6月に米国のボストンやサンディエゴで行われる世界最大規模のバイオイベント「BIO International Convention(以下BIO)」と同様に、「パートナリングシステム(注)」を用いた商談が主体となるイベントだが、その形態は両者で大きく異なる。例えばBIOは、主催者による大規模なネットワーキングイベントなどの開催は限定的であるのに対し、BIO-Europeは主催者が会期中ほぼ毎日、盛大にネットワーキングイベントを行い、パートナリング以外の場での参加者同士のコミュニケーションも重要視しているように感じられた。また、BIOに参加した日本企業からは「BIOはブース展示や講演が非常に多く、カンファレンス色も強い」といった声がある一方、BIO- Europeは「大手製薬企業のみならず、中堅の製薬企業にもアプローチがしやすい機会」といった違いを感じる声があった。
展示会場の様子(ジェトロ撮影)
BIO-Europeは、新型コロナ禍で導入されたオンライン会期を継続して残しており、ハイブリッド型の参加オプションを提供している。ただし、参加企業数やパビリオンの数などといった全体的な規模は、米国のBIOには及ばない。
ジェトロも、欧米間のイベントの特性や違いを踏まえ、例年、BIO-Europeではジャパンパビリオンは設置せず、広報ブースのみ設置し、日系企業の参加パス費用の割引支援と、大手製薬企業幹部とのネットワーキングを行っている。今回は20社(うち4社はオンライン会期のみ参加)を支援し、革新的なパイプライン(医薬品候補物質)やサービスの国際展開を推進した。
ジェトロ主催のネットワーキングイベントの様子(ジェトロ撮影)
また、イベント会場では、ホスト国であるオーストリアや周辺国のドイツ、オランダなど欧州各国が国別パビリオンを設ける中、アジアでは韓国パビリオンの存在が目立っていた。近年、BIO系のイベントでは中国の存在も台頭してきているが、韓国は複数の政府関係機関が連携し、韓国企業向けの面談場所やパネルを兼ね備えたパビリオンを設置しており、同国のバイオ医薬品産業の勢いを感じた。
(注)商談相手の探索、商談設定、記録管理などを一貫してサポートする商談プラットフォーム。欧米いずれのイベントでも、参加者はこのシステムを活用して、事前に会期中の商談を設定していく。
(田中大也)
(オーストリア、欧州)
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