モザンビーク、FATFグレーリストから脱却
(モザンビーク)
マプト発
2025年11月05日
金融活動作業部会(FATF、注1)は10月24日に開催された総会で、モザンビークを監視強化対象国・地域(グレーリスト)から外すと決議した。同国は「東部・南部アフリカアンチマネーロンダリンググループ(ESAAMLG)」(注2)が2021年5月に公開した評価レポートで、金融犯罪への対応能力が脆弱(ぜいじゃく)で法規制にも不備があることや、金融機関や法人への監督が不十分なことなどを指摘されており、2022年10月にFATFのグレーリストに指定された。FATFは同国政府に対し、9つの行動計画を提示して改善への取り組みを求めていた。
モザンビーク政府はグレーリストからの脱却を目指し、金融犯罪の監督機関の中央銀行を中心に、監督機能の強化やそれに伴う法整備などを進めた。一連の改革は、企業の「実質的受益者」申告制度の導入(2024年6月20日記事参照)など、法人登記制度の変更にも波及したが、これらの取り組みが評価され、グレーリストからの脱却を果たした。
同国の民間セクターも、FATFの対応について好意的に受け止めている。民間企業団体の経済団体連合(CTA)はメディアに対し、グレーリストからの脱却により国の信頼性が強化され、他国との金融取引や資金調達面での利便性が増すと述べた(10月25日付「クラブ・オブ・モザンビーク」)。
(注1)FATFは、マネーロンダリングやテロ資金供与、拡散金融への国際的対処を推進する政府間組織で、日本を含む39の国、地域連合(2023年2月から資格停止中のロシアを除く)が加盟している。国または地域連合は、同組織が定める基準の順守状況に応じ、グレーリスト(強化モニタリング対象)、またはブラックリスト(高リスク対象)に指定される場合がある。
(注2)ESAAMLGはFATFの施策に準拠し、その推進を目的の1つとする地域機関で、モザンビークを含む21カ国が加盟している。
(松永篤)
(モザンビーク)
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