日中首脳会談、医療・介護や第三国市場などの分野で連携強化

(中国、日本)

北京発

2025年11月04日

中国の習近平国家主席は10月31日、高市早苗首相と韓国で会談した。習国家主席はAPEC首脳会議に出席するため韓国を訪れていた。

中国外交部の発表では、習国家主席は会談で、中国と日本は一衣帯水の重要な隣国であり、中日関係の長期的で健全かつ安定的な発展を推進することは、両国民と国際社会の普遍的期待に合致すると述べたとしている。また、中国は日本とともに「四つの政治文書」(注1)で確立された原則と方向性に基づき、2国間関係の政治的基礎を維持し、「戦略的互恵関係」を推進し、新しい時代の要求に沿った建設的で安定した関係の構築に努めていくとした。

さらに、習国家主席は、現在の中日関係には機会と課題が共存していると強調した上で、ハイエンド製造業、デジタル経済、グリーン経済、財政・金融、医療・介護、第三国市場などの分野での中日間の連携が可能だとし(注2)、多国間貿易体制と産業チェーン・サプライチェーンの安定性・円滑性をともに維持することができるとした。また、政府や政党、立法機関などの意思疎通を継続的に行うとともに、人的・文化的交流と地方交流を拡大し、国民感情を改善させていくとも述べた。

両国経済相による閣僚会談、輸出管理対話などで意思疎通を継続

中国商務部の王文涛部長は10月30日、韓国で赤澤亮正経済産業相と会談した。商務部の発表では、王部長は、単独主義と保護主義が国際経済貿易秩序に打撃を与えていると指摘した上で、両国は輸出管理対話などの枠組みを活用し、産業チェーン・サプライチェーンの安定性・円滑性を共同で維持していくと述べたとしている。また、両国がWTOを中心とした多国間貿易体制をともに維持し、地域経済協力を進展させ、世界経済により多くの安定性をもたらすことを望むとした(注3)。なお、会談では、中国側は日本側に対し、輸出管理の対象となる外国ユーザーリストから、中国の企業や団体など関連エンティティーを早急に削除するよう求めたとしている。

(注1)1972年の日中共同声明、1978年の日中平和友好条約、1998年の日中共同宣言、2008年の日中共同声明を指す。

(注2)日本の外務省の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、日本産水産物の輸入の円滑化を求めるとともに、日本産牛肉の輸入再開と10都県産の農水産物など、残された輸入規制の撤廃の早期実現に向けた関連協議の促進などを求めたとしている。また、第三国市場協力、グリーン経済、医療・介護・ヘルスケアなどの分野で具体的な協力の進展を図っていくことや、グローバルな課題で協力していくことで一致したとしている。

(注3)日本の経済産業省の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、日本側は中国国内における邦人の安全確保や、民間ビジネスの予見可能性の確保をあらためて要請するとともに、日本産水産物について残された10都県産の輸入規制の早期撤廃などを強く求めたとしている。また、中国によるレアアースを含む輸出管理措置に強い懸念を表明し、適切な対応を取るよう強く要請したとしている。

(亀山達也)

(中国、日本)

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