オランダ半導体大手ASML、エンジニア需要増加を受け米アリゾナ州にトレーニングセンター開設
(米国、オランダ)
ロサンゼルス発
2025年11月25日
米国のアリゾナ商業公社(Arizona Commerce Authority)は11月20日、オランダの半導体製造装置大手ASML(注)がアリゾナ州フェニックス市でテクニカルトレーニングセンターを開設したことを発表
した。同センターでは多数の教室とクリーンルームを備えており、実際に顧客に納入している装置を利用した実践的な訓練が可能で、年間1,000人以上のエンジニアに対してトレーニングを行うという。
ASMLは2000年代初頭、インテルへ納入する装置のサポートを行う従業員を養成するためにフェニックス市に同様のトレーニング施設を開設していたが、米国が深刻な景気後退に見舞われる中、アジアで半導体事業が急速に拡大したため、同施設を閉鎖していた。しかし、半導体ファウンドリー(受託製造)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)がアリゾナ州に巨額の投資を行うなど、エンジニアに対するニーズが高まっていることが、今回の背景にある(「フェニックス・ビジネス・ジャーナル」電子版11月20日。
ASMLは同センターに1,500万ドル以上を投資し、訓練生の約半数はフェニックス都市圏から、残りは米国の他地域から来ており、工学部の学位保持者、2年間の職業訓練課程修了者、陸軍士官学校の訓練修了者のみならず、整備士や同様の経験を持つ人材も集まっており、トレーニング期間中、訓練生に対して年間10万ドル以上の給与が支払われる。
ケイティ・ホッブス州知事(民主党)は「ASMLのトレーニングセンターは州の半導体人材育成における大きな節目となる。半導体産業が成長を続ける中で、この施設は将来の半導体業界の専門家を育成する上で重要な役割を果たすだろう」と述べている。
また、アリゾナ商業公社のサンドラ・ワトソン社長兼最高経営責任者(CEO)は同センターについて「アリゾナ州が半導体人材育成に注力していることを実証しており、業界リーダーであるASMLが半導体人材の強化に向けた全米の拠点となる施設を通じて、アリゾナ州でのプレゼンスを拡大していくことを誇りに思う」とコメントしている。
(注)ASMLは1984年に設立され、世界中に4万4,000人以上の従業員を雇用している。米国では12を超える拠点で約8,500人が勤務し、そのうちアリゾナでは約700人の従業員が在籍。その大半が大手半導体メーカーの工場で使われる装置を適切に操作・保守するためのエンジニアで、顧客の工場に常駐し、円滑な稼働を確保している。
(堀永卓弘)
(米国、オランダ)
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