インド中銀、輸出企業向けの救済措置を発表

(インド)

ムンバイ発

2025年11月21日

インド準備銀行(中央銀行、RBI)は11月14日、輸出環境の不透明感が高まる中で資金繰りに影響が生じている輸出企業の支援を目的に、輸出代金の送金期限延長や輸出向け融資(輸出信用)の返済猶予などを柱とした救済措置外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表し、即日適用を開始した。

足元では、米国がロシア産原油の購入を理由に一部インド産品に対し25%の追加関税を課し、税率が50%に引き上げられたことから、主要輸出分野の一部で収益が悪化している。輸出企業は取引先との条件調整や資金計画の見直しを迫られており、今回の措置はこうした負担の軽減を目的とする。

RBIはまず、外為管理制度(FEMA)の輸出関連規則を改正PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)し、輸出代金のインドへの送金期限を輸出日から「9カ月以内」から「15カ月以内」へ延長したほか、輸出前に受け取った前受け金について、商品の出荷期限を1年から3年へ延長した。これにより、契約内容や納期の調整が必要な場合でも、輸出企業が対応できる時間的な余裕が生まれる。

併せて、RBIは「貿易救済措置指針(Trade Relief Measures Directions, 2025)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を公表し、化学品、繊維・衣料品、履物、宝飾品、機械類、自動車部品など20品目の輸出企業を対象に、輸出信用の返済猶予や条件緩和を認めた。対象は、2025年8月末時点で輸出向け融資を利用し、かつ融資が標準資産(Standard)に分類されている企業となる。

返済猶予期間中の利息は単利で計算され、複利負担は生じない。また、猶予期間中に発生した利息は別建てローンとして後日返済することが可能なため、輸出が鈍化する局面でも短期的な返済負担を抑えることができる。

さらに、輸出信用の最長与信期間が1年から450日へ延長されたほか、既存のパッキング・クレジット(輸出品の製造・出荷準備のための短期融資)について出荷ができなかった場合には、国内販売収入など別の資金による返済も認められた。これにより、輸出計画の変更や遅れが生じても、輸出企業は一定の資金繰りの柔軟性を確保できる。

(篠田正大)

(インド)

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