2032年五輪に向けて関心高まる、クイーンズランド州内インフラ整備と都市開発
(オーストラリア)
シドニー発
2025年11月25日
「Future Cities Dialogue 2025」が11月13~14日、在オーストラリア日本大使館とクイーンズランド州政府との連携により、クイーンズランド州のブリスベンとゴールドコーストの2都市で開催された。同イベントは、2023年のシドニーが初開催、翌年メルボルンが2回目で、2025年は3回目だ。今回は、両都市における都市開発の現状を確認するとともに、今後の日本企業との技術連携および投資連携の可能性を探った。初日のセミナーでは、連邦政府およびクイーンズランド州政府が抱える住宅供給における課題と、その解決に向けた日本からの貢献可能性を議論した。会場には両国政府・業界関係者を含む145人が出席した。
2000年シドニーオリンピック後から、オーストラリア国内では住宅価格が上昇を続けており、特に2021年以降は急激な推移を見せている。2032年にオリンピック・パラリンピックの開催を控えるブリスベンを含むクイーンズランド州では、自然増、州内移動者をはるかに上回る移民者が流入し、人口増は今後も続く見通しだ。例えば、シドニー(1.6%)、メルボルン(1.8%)、キャンベラ(1.5%)と比較しても、州都内住宅空室率が0.9%を記録するブリスベンでは、住宅確保が大きな悩みとなっている。
同州政府は、2044年までに、100万戸の新築住宅を供給し、そのうち5万3,500戸を公営住宅・社会住宅として整備する目標を掲げている。また、オリンピック開催までに選手村の設営や、移動手段となるインフラ整備といった新規都市計画も進められている。具体的には、早期運営事業者参画(EOI)などにより、事業発注から規程のプロセスを経て進められていく。オーストラリアの住宅建設には、人手不足や資金調達、手続きのファストトラック化、環境といった配慮すべき課題がある中、東京オリンピックでの経験を交え、脱炭素化、資材・建設工法、生産性向上などに資する日本企業との長期的なパートナーシップに期待が寄せられた。
セミナー開催後と翌日には、両国の関係者らが、ブリスベンの選出村建設予定地区、ブリスベン川沿いで進行する、クイーンズランド州最大規模の都市再生プロジェクトとされるノースショア地区、またゴールドコーストで現在延線計画が進行中のライトレール=ゴールドリンク(鉄道)、さらにグリフィス(Griffith)大学駅前を中心に広がる医療系エコシステムの複合拠点(Health and Knowledge Precinct)を視察した。
ロスリン・ベイツ クイーンズランド州財務・貿易・雇用・訓練相による開会あいさつ(ジェトロ撮影)
オリンピック選手村予定地となっているブリスベン・ショーグラウンド地区(ジェトロ撮影)
ゴールドコーストの海岸沿いを走るライトレール=ゴールドリンク(ジェトロ撮影)
(伊東佐和子)
(オーストラリア)
ビジネス短信 475d8841cf613859




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