日本産水産物、ブラジル向け輸出手続きの落とし穴

(ブラジル)

サンパウロ発

2025年11月25日

日本産水産物のブラジル向け輸出に取り組む事業者が増える中、現地インポーターとの連携は重要だ。輸出手続きの過程では、注意しておかなければインポーターとトラブルになりかねない「落とし穴」がある。ブラジル向けに日本産水産物などを輸出する北海道資源貿易外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(本社:北海道苫小牧市)の坂本安弘社長に、現状と対策について聞いた(取材日:2025年11月13日)。

【ブラジル当局に対する登録申請】

ブラジル向けに日本産の水産物や肉類など、動物性食品を輸出する際は、日本で施設登録を行ったうえ、ラベル・製品登録の手続きを、ブラジル農業・畜産省の電子システム上で行う必要がある(通称:DIPOA登録)。このシステム上の登録手続きに際しては、まずユーザー登録を行い、そのうえで製品に関する情報を登録することになる。ユーザー登録は2段階になっており、(1)最初にシステムに入るためのIDとパスワードを取得し、(2)次に企業・個人情報、施設登録番号を入力することで、施設(メーカー)の代表としてアクセス権限を得ることができる(注)。

現地インポーター任せには注意が必要

このシステム上の登録はポルトガル語で行う必要があるため、日本の事業者は現地インポーターなどに登録を任せるケースも多い。坂本氏は、このシステム利用時に使用するIDとパスワードについては、現地インポーター任せにせず、自社で確実に管理することが極めて重要だと指摘する。

坂本氏によると「現地インポーターが自社のIDとパスワードを管理してしまうと、(1)現地インポーターがシステムのアクセス権限を掌握できるようになり、新たな製品の登録が自由にできない、あるいは、(2)現地インポーターを変更したい場合でも(アクセス権を掌握されてしまっているため)変更できない、といったリスクを負うことになり、ブラジルでの自由なビジネス展開が阻害されかねない。登録作業を現地インポーターなどに委託する場合であっても、アカウントおよび権限管理は日本側で確保することが極めて重要だ」という。

現地インポーターなどとの連携・協業は非常に重要だが、時に意図しない「落とし穴」もあることがうかがえる。アカウント管理については、事前に書面で取り決めておくなどの対策も必要となりそうだ。

(注)DIPOA登録の詳しい手順については調査レポート「ブラジル向け水産物輸出ガイドブック-動物由来製品検査部(DIPOA)登録の手順-(2024年3月)」を参照。

(井上徹哉)

(ブラジル)

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