東南アジアのデジタル経済、2025年に3,000億ドル突破の見通し

(ASEAN、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)

シンガポール発

2025年11月17日

米国グーグル、シンガポール政府系投資会社テマセク、米国コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーは11月11日、東南アジアのデジタル経済の動向をまとめた報告書「e-Conomy SEA 2025」を発表した。東南アジア10カ国(ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)の2025年のデジタル経済の市場規模を示す流通取引総額(GMV)は3,050億ドルに達するとの見通しを示した。

この報告書は2016年に発表されて以降、今回で10版目に当たる。従来対象にしていたインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの6カ国に、ブルネイ、カンボジア、ラオス、ミャンマーの4カ国を新たに加えた。

GMVの対象は、(1)電子商取引(EC)、(2)旅行(航空、ホテルなど)、(3)運送・食品(フードデリバリー)、(4)オンラインメディア(広告、ゲーム、映像、音楽)の4分野で、分野別ではECが1,850億ドルで最大となった。ビデオコマース(動画コマース)が占める割合がECのGMVの約25%を占めた。オンラインショッピングに娯楽的要素を取り入れた「ショッパーテインメント」が動画コマースの成長を牽引しているとの見解を示した。

また、同報告書では、東南アジアの消費者の人工知能(AI)関連トピックスに対する関心が世界平均よりも高いことなどを紹介するとともに、「東南アジアの膨大なデジタル利用者は、AIへの関心において世界をリードし、日常業務にAIを急速に導入している」と言及した。

AI関連スタートアップは東南アジアで680社超が活動中で、国別ではシンガポールが495社超で最多だった。シンガポールのAI関連スタートアップ向けの過去12カ月(2024年下半期~2025年上半期)の投資額は13億1,000万ドルで、東南アジア6カ国の中で最大を占めた。

(朝倉啓介)

(ASEAN、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)

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