グーグル、ドイツに55億ユーロ投資、データセンター新設でクラウド・AI基盤強化

(ドイツ)

ベルリン発

2025年11月27日

グーグルは11月11日、2026年から2029年にかけてドイツ国内のインフラとオフィスに総額55億ユーロを投資する計画を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。グーグルは、本発表は同社の欧州への継続的コミットメントの一環であるとし、経済効果として、2029年までドイツの国内GDPを年間平均約10億ユーロ超押し上げ、約9,000人の雇用創出が見込まれるとした。

計画には、ヘッセン州ディーツェンバッハでの新データセンター建設、同州ハーナウの2023年開設のデータセンターへのさらなる投資のほか、ベルリン、フランクフルト、ミュンヘンのオフィス拡張が含まれる。ドイツにおけるクラウドリージョン(データセンター設置エリア)を強化し、世界の42リージョンから成るネットワークの一部として、高性能・低遅延のサービスを提供する。グーグル・クラウドは今後も、各組織が現地の要件や欧州の価値観を順守しつつ、高度なクラウドおよび人工知能(AI)機能を自信を持って導入できるソブリン・クラウド・ソリューション(注1)を提供し続けると表明した。

また、クリーンエネルギーや廃熱回収の取り組みについても併せて発表。フランス電力大手エンジーとの24/7カーボンフリーエネルギー(CFE)(注2)供給のパートナーシップを2030年まで拡大し、ドイツ国内の新規陸上風力・太陽光発電プロジェクトから電力を調達する。これらにより、グーグルのドイツでの事業について、2026年までに85%前後のカーボンフリーエネルギーで稼働する見込みとした。また、データセンターの余剰熱を回収し地域暖房に再利用する、同社としてドイツでは初となる廃熱回収プロジェクトも公表された。

本発表を受け、ラース・クリングバイル連邦財務相は、真に将来を見据えた投資と評価した。また、カーステン・ウィルトベルガー連邦デジタル化・国家近代化相、ドロテー・ベア連邦研究・技術・宇宙相、カテリナ・ライヒェ連邦経済・エネルギー相も、歓迎するコメントをそろって寄せた。

一方、ドイツ国際メディアのドイチェ・ベレ(DW)の取材に対し、フラウンホーファー労働経済・組織研究所(IAO)のカタリナ・ヘルツル所長は、外国からの投資を歓迎する一方で、「後でそこから抜け出すのがさらに困難になる」と語り、新たな依存関係を懸念し懐疑的な見方をする専門家のコメントを報じた。

(注1)データ主権を確保するために、特定の国や地域内でのみ利用され、その国の法律や規制に準拠したクラウドサービス。

(注2)グーグルは、毎時、毎日の電力消費量を100%CFEで調達しようとするキャンペーン「24/7 CFE Compact」を提唱し、国連が国際イニシアチブとして推進している。

(中山裕貴)

(ドイツ)

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