ルーマニア、COP30で公正かつ現実的なエネルギー移行を訴え
(ルーマニア、ブラジル)
ブカレスト発
2025年11月26日
ブラジルのベレンで11月10~22日に開催された国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)でルーマニア代表団を率いたディアナ・ブゾイアヌ環境・水利・森林相は、気候変動による洪水や干ばつが人々の生活、農業、森林およびインフラにすでに深刻な影響を与えている現実を指摘し、パリ協定で定められた世界の平均気温の上昇を産業革命前と比較して1.5度に抑える目標の重要性を強調した。さらに、気候変動対策は法的かつ道徳的義務であり、国民の生命、健康、安全を守る責任があると述べるとともに、気候目標達成に向けたエネルギーと経済の移行は公正で現実的で正しいものでなければならないと訴えた。
ルーマニア政府は、EUのエネルギー対策の枠組みに整合させながら、独自の国家エネルギー対策に取り組み、天然ガス、原子力、再生可能エネルギー(再エネ)を組み合わせた脱炭素対策に向けたエネルギーミックスを推進している。同政府が2024年10月にEUに提出した国家エネルギー・気候計画(NECP)
によれば、2030年までに再エネ比率を38.3%以上に引き上げるほか、チェルナボダ原子力発電所1号機の改修や2つの小型モジュール炉(SMR)の新設など、原子力開発プロジェクトを進めている。また、グリーンインフラやデジタル化への投資強化も戦略に盛り込まれている。
ルーマニア森林業者協会が運営する情報サイト「フォレストマニア」の11月19日付記事によると、ブゾイアヌ氏はCOP30開催中、ブラジルのマリーナ・シルバ環境・気候変動相と会談を行い、環境保全と再生分野における協力に関する覚書に署名した。覚書は、気候変動の緩和(異常気象の予防)・適応策(早期警報のしくみ)、土地の劣化と砂漠化への対処、生物多様性の保全・再生、持続可能な森林管理を優先分野としている。協力内容には、知識や科学的データなどの共有、セミナーや共同ミッション、研修プログラムの実施、研究プロジェクトの開発に加え、国家緊急時対応計画や環境規制枠組みの策定に対する技術支援が含まれた。
(本吉美友)
(ルーマニア、ブラジル)
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