ロシア進出日系企業、中国企業の存在感拡大に警戒

(ロシア、日本)

調査部欧州課

2025年11月25日

ジェトロは11月25日、「2025年度 海外進出日系企業実態調査(ロシア編)」の結果を発表した。2025年の営業利益見込みについて、「赤字」と回答した企業は前年比2.5ポイント増の50.0%で、2022年以降4年連続で「赤字」を見込む企業の割合が最大となった。「黒字」と回答した企業の比率は24.0%(前年比6.5ポイント減)で、2013年の調査開始以降の最低値となった。

2026年の営業利益見通しについて、2025年に比べ「悪化」するとした企業の比率は26.0%(前年比15.4ポイント減)で、2022年以降の最低水準になった。一方で、「改善」と回答した企業の比率は12.0%にとどまった。

今後1~2年の事業展開について、「現状維持」と回答した企業の割合は、前年比17.4ポイント増加し76.0%を占めた。「縮小」と「第三国(地域)への移転、撤退」の合計は18.0%で、前年(37.9%)から半減した。事業縮小や撤退の動きの沈静化がみられる。

進出市場における最大の競争相手については、地場企業(40.8%)や中国企業(38.8%)が上位に挙がった。2019年度調査における同設問では、中国企業と回答した企業の割合は4.9%にとどまっていた。ロシア市場における中国企業の台頭がうかがえる。中国企業を最大の競争相手とする主な理由は、「コスト競争力」(78.9%)、「意思決定の早さ(顧客対応や現地市場への適合など)」(47.4%)などが挙がった。

西側諸国による対ロ制裁およびロシアの対抗措置の影響について、98.0%の企業が「影響あり」と回答した。主な影響として、「日本本社におけるロシアビジネスのプライオリティ低下」(63.3%)、「現地市場での売り上げ減少」(53.1%)が挙がった。

ロシアで事業展開する上での問題点について、対ロ制裁や輸出規制の問題のために、製品の輸入・販売ができない状況や、価格だけでなく品質の向上も認められる中国製品の市場シェア拡大に対する懸念の声が聞かれた。

今回の調査は2025年9月に実施した。ロシアに現地法人(日本からの直接投資または間接出資比率が10%以上)や支店の形態で拠点を構えている企業78社にアンケート調査への回答を依頼し、50社(製造業10社、非製造業40社)から回答を得た。調査結果の詳細はジェトロ・ウェブサイトに掲載されている。

(柴田紗英)

(ロシア、日本)

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