チリ大統領選の決選投票、世論調査ではカスト氏が優勢

(チリ)

サンティアゴ発

2025年11月26日

民間調査会社カデムは11月23日、12月14日に予定されるチリ大統領選挙決選投票に関する世論調査結果(注)を公表した。46%が右派・共和党のホセ・アントニオ・カスト氏を、34%が左派・共産党のジャネット・ハラ氏を支持し、20%が未定または無回答だった。

第1回投票で3位の右派・人民党(PDG)のフランコ・パリシ氏に投票した層は、34%がカスト氏、22%がハラ氏を支持し、44%は未定または無回答だった。第1回投票では4位で、決選投票でカスト氏支持を表明したヨハネス・カイザー氏の支持層は、92%がカスト氏支持、8%が未定または無回答、第1回投票で5位となった中道右派のエブリン・マテイ氏の支持層は60%がカスト氏支持、21%がハラ氏支持となった。決選投票の結果予想では、62%がカスト氏の勝利を見込み、ハラ氏は28%にとどまった。

「有権者が大統領に求める資質」では、「犯罪・麻薬対策能力」(34%)、「教育・医療・年金・住宅分野での社会改革」(32%)、「経済成長と雇用創出」(31%)が上位を占めた。カスト氏は「犯罪・麻薬対策能力」(53%)、「移民問題解決能力」(53%)、「経済成長・雇用創出能力」(51%)などで高い評価を得ており、治安対策と経済政策を軸に支持を拡大している。一方、ハラ氏は「多様性への寛容」(44%)、「親しみやすさ」(40%)など、人柄面での評価が目立った。

両氏の政策をみると、経済政策では、カスト氏は法人税引き下げや規制緩和を通じた民間投資の促進を打ち出す一方、公的支出の抑制を掲げる。ハラ氏は、現政権の社会改革路線を継承し、労働時間の週40時間への短縮や最低賃金引き上げなどを推進する。両氏とも、鉱業分野は引き続き重点産業に位置付け、インフラ投資の促進を主張している。

また、移民政策や治安対策では、カスト氏は、軍や警察などを動員して治安や国境管理を物理的に強化する方向だ。一方のハラ氏は、移民の審査・就労許可を進め、教育・就労支援を提供して社会的包摂を目指しつつ、犯罪組織の資金源摘発や犯罪率の高い地区の再開発などを通じて治安改善を図る意向だ。

(注)実施期間は11月19~21日。チリ国内の18歳以上の男女1,491人の回答を集計したもの。

(高橋英行)

(チリ)

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