米小売り各社の第3四半期決算、ディスカウント店は好調、住宅関連・非必需品の買い控え鮮明に
(米国)
ニューヨーク発
2025年11月25日
米国大手小売り各社はそれぞれ2025年第3四半期(8~10月期、注)の決算を発表した。各社の業績報告では、あらゆる所得層で消費者がコストパフォーマンスの高い商品を求めるようになっており、ディスカウント店が成功を収めている傾向が見られる。他方で、住宅関連や非必需品は、消費者の買い控え姿勢が強まっている状況が示された。
米国小売り大手ウォルマートが11月20日に発表した純売上高は、前年同期比5.8%増の1,777億6,900万ドルとなり、ウォール街の予想を上回った。ウォルマートが掲げる低価格戦略は引き続きあらゆる所得層から支持され、新規顧客の獲得にも成功した。同社の電子商取引(EC)事業は引き続き好調で、米国内のEC売上高は28%増となり、7四半期連続でEC売上高成長率が20%を超えた。同社は、米国内の全世帯の約95%に、最寄りの店舗から3時間以内に商品を配送できる体制構築を強化している。全米約4,600店舗の広範な店舗網を持つウォルマートならではの強みを生かした戦略で、アマゾンなどの競合他社に対する大きな差別化要因となっている。好調な業績を受け、通期の売上高見通しを前年比3.8~4.8%増から、4.8~5.1%増に上方修正し、2四半期連続の引き上げとなった。
また、アパレルやホームファッションのブランド品やデザイナーズ品を割安で販売している大手オフプライス事業者TJXカンパニーズの純売上高は、前年同期比7.0%増の151億1,700万ドルとなった。既存店売上高も前年同期比5%増と予想を上回り、全部門で好調に推移した。同社のアーニー・ハーマンCEO(最高経営責任者)は、年末商戦が「好調なスタートを切った」とし、「ホリデーシーズンにおいて、価格を重視する買い物客にとってギフト選びの目的地として確固たる地位を築いている」と述べた。通期の既存店売上見通しは、従来予想の3%増から4%増と見込み、価値を求める消費需要の根強さを示した。
他方で、小売り大手ターゲットやホームセンターチェーン大手ホーム・デポでは販売が低迷しており、両社とも通期見通しを下方修正した。ターゲットの純売上高は前年同期比1.5%減の252億7,000万ドルと4四半期連続で売上高が減少し、営業利益は同18.9%減の9億4,800万ドルとなった。食品・飲料や耐久消費財は既存店売上高の成長に寄与したが、それ以外の広範な非必需品では継続的な軟調さによって相殺された。また、ホーム・デポの決算では、住宅改修需要の減退や、例年より少ないハリケーンの発生を理由に、3四半期連続で業績見通しを下回った。同社は、長期化した政府閉鎖、企業の解雇発表の増加、一部市場での住宅価格の下落なども、需要の冷え込み効果をもたらした可能性があると述べた。
(注)TJXカンパニーズ、ターゲットの第3四半期決算は11月1日まで。ホーム・デポは11月2日までの報告。
(樫葉さくら)
(米国)
ビジネス短信 320aa817ac603944




閉じる
