エジプト初の原子力発電所で原子炉設置式開催、プーチン大統領がオンライン出席

(エジプト、ロシア)

カイロ発

2025年11月25日

エジプト大統領府は11月19日、エジプトのエル・ダバア原子力発電所における原子炉圧力容器(RPV、注)の設置式に、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とエジプトのアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領がオンラインで参加したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同発電所はロシア国営のロスアトムが建設を進める、エジプト初の原子力発電所だ。完成すれば、総出力4,800メガワット(MW)を誇るアフリカ最大規模の原子力施設となる(2025年6月27日付地域・分析レポート参照)。

エジプト原子力発電所庁によればエル・ダバア原子力発電所の建設は2017年12月に発効した契約に基づいており、最新のロシア製加圧水型軽水炉を備えた4基の発電ユニットで構成される。今回設置式が行われたRPVは10月21日にロシアからエジプトに到着し、ロスアトムのエンジニアリング部門が設計および設置工事を請負った。

エジプト大統領府によれば、プーチン大統領は設置式のスピーチで、RPV設置に祝意を述べるとともに、原子力発電所の建設がエジプトの経済成長を支え、エネルギー安全保障に寄与することを強調した。また、両国間の貿易量の増加、産業協力の強化、スエズ運河経済特区内への工業団地設立に向けたロシアの動きなど、両国間の経済関係深化についても言及した。

エジプトのエルシーシ大統領は自身のスピーチでロシアとの核燃料調達契約署名に言及した。また、同大統領のスピーチ中、「平和的な原子力利用」というフレーズが繰り返され、「原子力発電所の建設プロジェクトは、エジプトが持続可能かつ安全なクリーンエネルギー源を確保するための国家的な選択だ」と強調した。

(注)燃料集合体を収容する、鋼鉄製の円筒状の構造物。この中で核分裂が起こる。

(塩川裕子)

(エジプト、ロシア)

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