G20首脳会議を前に、B20サミット開催
(南アフリカ共和国)
ヨハネスブルク発
2025年11月21日
南アフリカ共和国が議長国を務めるG20首脳会議が11月22~23日に迫る中、G20諸国のビジネス界のリーダーが集まるB20サミットが11月18~20日、ヨハネスブルク・サントンコンベンションセンターで開催された。開催テーマは「グローバルな協力による包摂的な成長と繁栄」で、主催者によれば1,000人以上が出席した。日本からも経団連幹部や、在南ア日本商工会議所幹部が参加した。
B20はこのサミットに向け、貿易・投資や持続可能な食料・農業、雇用・教育など8つの作業部会を設けて議論を続けてきた。南アがG20議長国を務めるにあたり、多国間協力や格差問題に焦点を当てた議論を行いたいとのシリル・ラマポーザ大統領の意向を受け、上述のようなテーマになったもようだ。
20日午後の閉会セッションで演説したラマポーザ大統領は、豊富な資源や土地、再生可能エネルギーの源泉となる自然環境、人材に恵まれているアフリカが十分な経済成長を実現できていないことに強い危機感を述べ、その一因として資本コストの高さを挙げた。このことが多大な債務の返済を招き、本来の国民やインフラ、生産活動に投資できない大きな理由になっているという。ラマポーザ大統領は、トレバー・マニュエル元南ア財務相が委員長を務めた専門家パネルの報告書を引き合いに、多国間開発銀行や貿易金融機関からより多くの譲許的資金を動員するための措置が求められているとした。また報告書は、信用格付け機関にさらなる透明性と説明責任を義務付けることで、アフリカに対する偏ったリスク認識に対処する必要があると指摘しているという。そしてラマポーザ大統領は、こうした勧告を総合すれば、アフリカにおける投資ブームの条件が整う可能性があると述べた。
さらに、世界的なパンデミック、戦争や紛争、地政学的な混乱によって引き起こされる生産と貿易への甚大な影響が世界を覆う中、多国間機関とルールに基づく世界秩序の価値を認識し、多様で回復力のあるサプライチェーン、規制の一貫性、予測可能な貿易関係の重要性を認識すべきと強調した。最後にラマポーザ大統領は、世界経済の回復力を強化するために取り組む中で、不平等を減らすための一層の努力を訴えた。
会議の最後に、B20議長職は、2026年G20議長国を務める米国の商工会議所会頭に引き継がれた。
B20サミットの様子(ジェトロ撮影)
(的場真太郎)
(南アフリカ共和国)
ビジネス短信 25c1e24c3a9732d6




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