「UK Africa Trade Expo」開催、アフリカの農業分野への投資を議論

(英国、アフリカ)

ロンドン発

2025年11月05日

英国のロンドンで10月24日、「UK Africa Trade Expo」が開催され、アフリカ政府関係者、関連企業、投資家などが参加した。パネルディスカッションでは、アフリカの農業分野での潜在力と国際投資の可能性を中心に議論が行われた。

世界銀行グループ英国担当カントリーマネージャーのアンドレア・エンゲル氏は、アフリカには広大な未開発の農業適地が存在するにもかかわらず、依然として食料は輸入への依存が続いている現状を指摘した。農業は雇用創出の観点からも優先的に取り組むべき分野であり、資金アクセスの制約、インフラの未整備、気候変動への対応など、複数の課題が存在すると述べた。

同氏はまた、持続可能な農業発展のためには基盤インフラへの投資が不可欠であるとし、世界銀行としても灌漑、交通、水資源、エネルギー、デジタル技術、教育分野の整備を重点的に進めていると説明した。世界銀行がロンドンに拠点を置く理由として、英国の保険会社、投資家、金融機関と連携し、ロンドンに集まる資本を新興市場へと橋渡しする役割を担っている点を挙げた。

キングスカレッジ・ロンドンのローレン・イングランド博士は、繊維・アパレル産業における統合型バリューチェーンの重要性を強調した。国際貿易センター(ITC)の調査によれば、アフリカは世界有数の綿花生産地域でありながら、その約9割が未加工のままアジアに輸出されており、アフリカ各国の域内からの輸入比率は綿糸が7%、綿織物は6%にとどまっているという。綿花などの繊維栽培から製造、デザイン、最終製品化までの全工程を一国内で完結させることで、各段階で雇用が生まれ、持続的な経済成長につながると指摘した。

イングランド博士は一方で、エチオピアやケニアでは、アパレル製品製造への投資が進む一方、バリューチェーンの川上(栽培・加工分野)への投資は依然として不足しているとして、今後の同分野への投資拡大の重要性にも言及した。

さらに、アフリカからEUや英国への輸出では、ブロックチェーン技術の活用により、繊維から衣類までのサプライチェーン全体を追跡可能とすることが期待されると述べた。

アフリカ発のデザイン・製造によるファッション製品への需要は、アフリカ大陸内にとどまらず世界的にも高まっており、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)などの枠組みを通じて、新たな経済的機会が創出されつつあることにも言及した。

(植松麗良)

(英国、アフリカ)

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