APMターミナルズとグジャラート州、ピパバブ港拡張で合意

(インド)

アーメダバード発

2025年11月05日

インド西部グジャラート(GJ)州の主要港湾であるピパバブ港(APM Terminals Pipavav)を運営するAPMターミナルズは、同港の拡張に向けてGJ州政府と新たな投資計画を進める。APMターミナルズはAPモラー・マースクの傘下で、同社インド法人であるグジャラート・ピパバブ・ポートが1998年にGJ州海事局との間で30年間のコンセッション契約を締結し、同港を運営している(2024年10月3日付地域・分析レポート参照)。

GJ州政府の発表によると、APMターミナルズは10月29日、州都ガンディナガルで1,700億ルピー(約2,890億円、1ルピー=約1.7円)の投資に関する覚書を同州海事局と締結した。調印式には、APモラー・マースクのロバート・マースク・ウグラ会長やブペンドラ・パテルGJ州首相が立ち会った。今回の投資は、GJ州海事局との長期コンセッション契約を前提に、コンテナ、液体貨物、自動車の取扱能力の向上、インド北西部向けの海運・鉄道〔専用貨物回廊(DFC)〕・道路連携によるマルチモーダル輸送網の整備などを目的としている。パテル州首相は「ピパバブ港の拡張は、インドの『海の玄関口』としてのGJ州の地位を更に強固にするだろう」と期待を込めた。APモラー・マースクは関連して、GJ州の国際金融特区「GIFTシティー」に新会社マースク・バーラトIFSCを新設し、同社のコンテナ船2隻をインド船籍に切り替えた。

ピパバブ港は、ムンドラ港やカンドラ港と並ぶGJ州の主要港湾で、コンテナやバルク、乗用車(RORO)を扱う。日系企業では、スズキやホンダが乗用車の輸出拠点として活用している。また、タタ・エレクトロニクスがインド初となる半導体前工程の製造拠点を建設しているドレラ特別投資地域(SIR)の最寄りの港湾であり、鉄道での接続も計画されている。今回の覚書締結により、さらなる貨物取扱能力の拡張やコンセッション契約延長の道筋がついた。

(吉田雄)

(インド)

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