バルセロナでスマートシティ国際会議開催、日本の都市開発ソリューションも存在感増
(スペイン)
マドリード発
2025年11月11日
スペイン・バルセロナで11月4~6日、世界最大級のスマートシティ関連国際会議「スマートシティ・エキスポ・ワールドコングレス(SCEWC)2025」および「バルセロナ・ディープテック・サミット2025」が開催された。SCEWCは「The Time for Cities(都市の時代)」をテーマに、人工知能(AI)を駆使した都市変革が焦点となり、143カ国から2万7,000人以上が参加した。併催のディープテック・サミットでは、エネルギー転換や産業技術などの分野のディープテック・スタートアップが展示した。
SCEWC(左)とディープテック・サミット(右)の様子(ともにジェトロ撮影)
日本からは、スマートシティ・インスティテュート(SCI-Japan)
がジャパンパビリオンを組織。内閣府、国土交通省、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、三菱地所・三菱地所設計、インターネット・イニシアティブ(IIJ)など官民20組織が参加し、日本のスマートシティ施策を総合的に発信した。また、東京都主催の「東京都パビリオン」では、エックスマップ(xMap
)やネフロント(Nefront
)など日系スタートアップや日系大手企業が先端ソリューションを披露した。
ジャパンパビリオン(左)および東京都パビリオン(右)の出展ブース(ともにジェトロ撮影)
SCEWCでは、AIを都市の持続可能な発展の核と位置付け、AI活用都市専用エリアが初めて設けられた。欧州委員会や関連機関が主催したセッションでは、AIソリューションをパイロット段階から都市規模で展開するための課題が議論された。標準化された共通基盤の構築や、EUのAI法案(2024年5月27日記事参照)に対応した倫理的評価の重要性が指摘され、ローカルデジタルツイン(注)を活用した政策シミュレーションの有効性が確認された。
ディープテック・サミットでは、エネルギー・コネクティビティ分野のスタートアップへの投資議論が活発だった。欧州のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)であるワイラ(Wayra
)(スペインの大手通信企業テレフォニカグループ)やスペインのエネルギーソリューションを提供する電力・ガス会社EDPのベンチャー部門などが、投資判断における技術の独自性や事業化の実現性を厳格に審査するデューディリジェンスの方法について言及。また、カタルーニャ州投資促進機関アクシオ(Accio)は、日本を重要戦略パートナーと位置付け、ビデオゲーム産業を中心とした誘致に注力している方針を示した。
各種投資家セッションの様子(ともにジェトロ撮影)
両イベントを通じ、AIとデジタルツインが都市変革の基盤技術として確立している現状が確認され、日本の官民も連携して組織的な国際発信を行っていた。
SCEWCは次回2026年11月3~5日に開催予定。
(注)現実の都市や地域を仮想空間上に精密に再現したモデル。シミュレーションを通じて、都市計画や政策の効果を事前に検証するために用いられる。
(加賀悠介)
(スペイン)
ビジネス短信 24767fae073b66b9




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