静岡県で世界お茶まつり開催、世界的な抹茶需要拡大で商談活況

(日本、欧州)

浜松発

2025年11月05日

静岡市で10月23〜26日、日本最大級の茶の総合博覧会「世界お茶まつり」が開催され、約100社が出展した。国内外から4日間で13万6,400人が来場し、テイスティングイベントへの参加や生産者との会話を通して、日本茶に関する知識を深めようとする様子が見られた。静岡県お茶振興課の大石哲也氏(同イベント事務局)は、「輸出促進を目的に、今年(2025年)は初めて英語・中国語の同時通訳付きライブコマース(注)も実施した。主力の輸出先である米国・欧州に加え、タイやフィリピンなど東南アジアの新興市場にも注目しており、販路拡大を支援していきたい」と意欲的だ。

写真 世界お茶まつりの様子(ジェトロ撮影)

世界お茶まつりの様子(ジェトロ撮影)

「世界お茶まつり」開催の好機を捉え、ジェトロの海外バイヤー専用のオンラインカタログサイト「Japan Street」事業の一環で、スペインおよびルクセンブルクのバイヤーを静岡県に招聘(しょうへい)した。両バイヤーは、業務用・卸売向けの抹茶を中心に、新たな供給パートナーを求めており、ジェトロは両バイヤーに対して農園や工場の視察とともに県内の茶関連企業との面談を設定し、14件の商談が実施された。

ルクセンブルクのゴーマッチャ(GoMatcha)の代表取締役ニナ・ペニング氏は、「抹茶ラテのボトリング飲料に使用するパウダーを探している。味の深みや色の鮮やかさを重視しており、調達量は来年度に8倍へ拡大する計画だ」と語る。有機認証の有無にかかわらず、EUの残留農薬基準を満たせば販売可能であるため、幅広い事業者との商談を希望していると語った。また、スペインのセスランスエンタープライズ(SETHLANS ENTERPRISE)の創業者ベロニカ・エガル氏は、「生産者からお茶のストーリーや品質について直接話を聞いて、取引先の高級レストランやカフェへの提案時にお茶自体の魅力を伝えられるようになりたい」と述べた。抹茶に加え煎茶やほうじ茶にも関心を示し、「特にほうじ茶はコーヒーに似た風味が好まれるため抹茶に続く次のブームとして注目している」と今後の展望を語った。

一方、商談に応じた静岡県森町の松浦製茶は「海外からの問い合わせが例年を大きく上回り、各国の海外バイヤーの来訪も増えている。日本全体で抹茶の在庫が逼迫しており、抹茶・碾茶(てんちゃ)の価格は2倍以上に高騰している」と語った。静岡県内では、急増する需要への対応が課題となっている。

写真 スペインバイヤーと松浦製茶との商談の様子(ジェトロ撮影)

スペインバイヤーと松浦製茶との商談の様子(ジェトロ撮影)

(注)今回使用されたのは、海外のオンライン販売(EC)プラットフォーム上でライブ配信をし、直接、顧客に販売ができる仕組み。

(杉山希実、劉美暎)

(日本、欧州)

ビジネス短信 205666d2b69bb0ae