第6回インドネシア-日本自動車対話、バイオ燃料導入のための実行計画策定へ

(インドネシア、日本)

ジャカルタ発

2025年11月19日

日本の経済産業省とインドネシアの工業省、エネルギー・鉱物資源省は11月11日、インドネシア・ジャカルタで「第6回インドネシア-日本自動車対話・第1回バイオ燃料共創タスクフォース」を開催した。日本側からは経済産業省製造産業局の田中一成大臣官房審議官、インドネシア側からは工業省からセティア・デイアルタ金属・機械・輸送設備・電子産業総局長、エネルギー・鉱物資源省からエニヤ・リスティアニ・デウィ新・再生可能エネルギー・省エネルギー総局長が出席した。このほか、日・インドネシア双方の自動車産業関連の業界団体や民間企業の代表者らも参加した。

対話の冒頭で、エネルギー・鉱物資源省のエニヤ総局長は、インドネシアが2060年までの達成を掲げるネットゼロエミッションの目標に向け、同国が様々な課題に直面していると述べた。そのうえで、産業部門と輸送部門の二酸化炭素(CO2)排出のうち、「最も注力すべき重要な分野は輸送部門だ」と強調した。また、輸送部門での目標達成については「単一の解決策はない」とし、その解決策の1つとしてバイオ燃料の活用を挙げた。バイオエタノールについては、国営石油会社プルタミナがガソリンに5%のバイオエタノールを混合した「E5」の販売を開始しており、「インドネシア政府は2028年に『E10』を義務化することにコミットしている」と強調した。

インフラ・地域開発担当調整省のラフマット・カイムディン次官は、総エネルギー消費量の20~30%をいまだに輸入に依存していることに触れ、「輸入の大部分は石油であり、そのほとんどが陸上の輸送部門に使用されている」とした。そのうえで、インドネシア政府によるバッテリー式電気自動車(BEV)への一定の優遇措置(2024年1月15日記事参照)は2025年12月31日で終了する予定であると述べたうえで、「来年には公平な競争条件が実現し、インドネシア市場における競争意欲が一層高まることに期待している」と述べた。

経済産業省の田中大臣官房審議官は、自動車産業を取り巻く環境が大きく変化していると指摘したうえで、「脱炭素化への対応が不可欠だ」と強調した。また、インドネシアが有する豊富なバイオ資源からバイオ燃料を生産、活用することで、「インドネシアは競争力のある技術やインフラを生かし、クリーンな社会を構築することが可能だ」と述べた。

両政府は今後、「E10」や「B50(注)」導入時の車両への影響評価などに関する協力を進める方針だ。2025年末までに実行計画を策定し、2026年までに車両への影響評価と使用燃料の決定を行い、2027年末までにエタノールおよび水素化植物油(HVO)の生産開始を目指して取り組みを進める。また、2026年の自動車対話では、具体的な実行内容とその結果を確認するとした。

写真 対話の様子(ジェトロ撮影)

対話の様子(ジェトロ撮影)

(注)軽油にパーム油由来のバイオディーゼル燃料を50%混合した燃料。

(大滝泰史)

(インドネシア、日本)

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