混戦模様の米カリフォルニア州知事選に環境保護活動を行う資産家が立候補を表明

(米国)

ロサンゼルス発

2025年11月26日

米国カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(民主党)の任期が2027年1月で切れる。同州の知事の任期は2期までで、再選はないことから、次回大統領選挙への立候補が取りざたされている。一方で、2026年11月に予定されている、同知事の後継となるカリフォルニア州知事選挙は混戦の様相を呈してきている。2025年11月19日には、環境活動家で資産家のトム・ステイヤー氏(民主党)が同州知事選への立候補を表明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

カマラ・ハリス前副大統領(民主党)とアレックス・パディラ上院議員(民主党)という2人の有力候補が同州知事選への立候補を断念したことによる隙間に立候補したかたちだが、各候補者にとっては依然として厳しい戦いが続いているという見方が広がっている(「ポリティコ」電子版11月19日)。

その他の民主党の候補には、元連邦保健福祉長官のザビエル・ベセラ氏、元下院議員のケイティ・ポーター氏、元ロサンゼルス市長のアントニオ・ビラライゴサ氏がおり、他の有力候補も立候補を検討しているとされる。カリフォルニア州は以前から民主党の牙城であるものの、同州リバーサイド郡保安官のチャド・ビアンコ氏や元FOXニュース司会者のスティーブン・ヒルトン氏など共和党の有力候補も立候補を表明している(「NBC NEWS」電子版11月19日)。

ステイヤー氏は、これまで環境保護のためのロビー活動や住民発議のために多額の資金を投じてきた中で、2020年の大統領選に立候補し撤退した。今回の立候補について「カリフォルニア州民は、余裕のある生活を送る権利があるが、生活費の高騰に苦しんでいる。私たちは原点に立ち返る必要がある。つまり、企業に再び正当な負担を負わせる必要がある」とコメントしている。カリフォルニア州の電気料金が全国平均の2倍となっていることに触れ、当選すれば、電力会社の独占状態を解消し、電力会社を選択できるようにすることによって競争を促し、電気料金を25%引き下げると主張している。

また同氏は、住宅建設にかかる許可手続きの迅速化、税金や手数料の削減、最新技術の活用による建設コストの削減などによって4年間で100万戸の住宅を建設するとしている。さらに、商業用不動産やオフショア法人(注)に対する法人税徴収の抜け道をふさぐことで、就学前教育からコミュニティカレッジまですべてのカリフォルニア州民の公共教育を無償化すると述べている。

(注)登記されている国以外の場所で事業を行い、収益を上げる法人。

(堀永卓弘)

(米国)

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