防衛装備庁技術シンポジウム2025開催、産学連携とイノベーション創出の重要性強調

(日本)

調査部国際経済課

2025年11月13日

防衛装備庁は11月11日から12日にかけて、防衛装備庁技術シンポジウム2025を東京都内で開催した。このシンポジウムは同庁の研究成果の普及発信や、産学連携、活発な防衛イノベーションを促進する場として毎年開催されている。

小泉進次郎防衛相は冒頭のあいさつで「厳しさを増す国際情勢の中、民生技術の積極的な防衛目的での活用と社会への還元に取り組み、将来の社会のあり方を大きく変える防衛イノベーションを創出する必要がある」と述べた。

写真 開会のあいさつをする小泉防衛相(ジェトロ撮影)

開会のあいさつをする小泉防衛相(ジェトロ撮影)

赤澤亮正経済産業相はビデオメッセージを寄せ、「経済産業省として、AI(人工知能)や量子といった先端分野の研究開発支援や、防衛省とスタートアップのマッチング支援に注力したい」と語った。

写真 赤澤経産相のビデオメッセージ(ジェトロ撮影)

赤澤経産相のビデオメッセージ(ジェトロ撮影)

防衛イノベーションの中心となるのが、2024年10月に東京都渋谷区の恵比寿ガーデンプレイス内に設立された「防衛イノベーション科学技術研究所(DISTI)」だ。米国の国防高等研究計画局(DARPA)や国防イノベーションユニット(DIU)の取り組みを参考とし、官主導でブレークスルー研究(注1)の創出を目指す。安全保障技術研究推進制度外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに代表される防衛省外との産学官相互連携や、人材を含むエコシステムの構築を重視しており、上記の制度について、2025年度は国内の企業や公的研究機関、大学などから過去最多の合計340件の応募を受け、49件を採択した。

会場内には採択を受けて研究を推進する企業や、独自に取り組みを進める企業が複数社出展した。ドローンや偽情報対策でのAI技術の出展のほか、大型の気球、衛星コンステレーション(注2)に関する展示もあり、防衛産業の裾野の広さをうかがわせた。防衛イノベーション科学技術研究所長の片山泰介氏は講演で「今やデュアルユースは前提であり、民生向けと防衛向けで必要な技術に大差はない」と指摘し、社会を変革する技術革新の重要性を強調した。

(注1)これまでの延長ではない社会を変える新たな機能、技術を創る取り組み。

(注2)中・低軌道に打ち上げた多数の小型非静止衛星を連携させて一体的に運用し、世界全域を対象として、緊急時や平時を問わず、陸上・海上・航空機上で、高速大容量通信など多様なサービスの提供を可能とするもの。

(峯裕一朗)

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