四川省、重慶市が第3四半期の経済指標を発表、成都・重慶の両都市経済圏は5周年に

(中国)

成都発

2025年11月06日

中国の四川省統計局は10月21日、重慶市統計局は10月24日にそれぞれ2025年第3四半期の経済指標を発表した。域内総生産(GRP)は、四川省が前年同期比5.5%増の4兆9,322億元(約98兆6,444億円、1元=約20円)、重慶市が5.3%増の2兆4,449億元に達した。

主要経済指標からみると、一定規模以上の工業企業(注1)による工業生産増加額(付加価値ベース)では、四川省が前年同期比7.1%増、重慶市が5.4%増だった。そのうち、四川省は新エネルギー車、人工知能(AI)が牽引する自動車産業、電子設備産業がそれぞれ18.3%増、13.1%増となった。また、重慶市の自動車、オートバイ産業はそれぞれ12.6%増、21.2%増となり、オートバイ産業は主要産業のうち最も高い伸びを示した。社会消費品小売総額は、四川省は5.8%増の2兆1,170億元、重慶市は3.6%増の1兆2,483億元で、四川省統計局は消費市場の持続的な回復傾向が見られたとしている。

成都・重慶地区双城経済圏(注2)(以下、成渝経済圏)建設連合弁公室は10月21日、統計チーム会議が重慶市で開催されたことを発表した。同会議では、過去5年間の成渝経済圏における取り組みの成果が統計でまとめられた。また重慶市統計局は、「成都・重慶地区双城経済圏建設5周年成果総括報告」(以下、「報告」)を10月22日に公開した。

重慶市統計局によると、成渝経済圏のGRP総額は、2019年の6兆4,000億元から2024年の8兆7,000億元に増加し、全国に占める割合は6.3%から6.5%に上昇した。中国西部地域に占める割合は30.3%、年平均成長率は5.4%で全国平均を0.5ポイント上回った。

また、報告では同経済圏建設の成果として、四川省、重慶市はそれぞれの優位性を十分に発揮し、科学技術イノベーションセンターの建設、現代化産業システムの構築、巴蜀特色国際消費拠点の建設を加速させたとした。具体的には、成渝総合科学センター、西部科学城、中国(綿陽)科学技術城の建設を進めたほか、電子情報、設備製造、先端材料など4つの大規模産業クラスターの共同構築や国内第3位の規模の自動車産業クラスターの形成などの成果をあげた。また消費促進の一環として、特色のある消費シーンや「渝悦消費」(注3)、「蜀里安逸」(注4)などの消費ブランドの構築を共同で行ったことを示した。

(注1)年間売上高が2,000万元以上の工業企業。

(注2)2021年10月に中国共産党中央委員会と国務院が、新たな経済圏構想として成渝経済圏の建設規画綱要を発表。同経済圏は、重慶市の27区(県)と一部地域、四川省の省都である成都市、自貢市など15市から構成される。

(注3)重慶市政府は2021年5月に新たな消費の発展を促進するための実施意見を発表しており、「愛尚重慶・渝悦消費」をテーマとした消費促進イベントなどが展開された。

(注4)四川省政府は2023年3月に、国際的な消費拠点を構築するため、グローバルかつ中国および四川省・重慶市の特色を備えた消費ブランド「蜀里安逸」を育成すると提起した。

(曾小桐)

(中国)

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