米スタートアップ大型展示会「ディスラプト2025」開催、AI実装が加速
(米国)
サンフランシスコ発
2025年11月06日
米国のテックメディア「テッククランチ」は10月27~29日、サンフランシスコのモスコーニセンターで、20周年記念となるスタートアップ大型展示会「ディスラプト2025
」を開催した。ディスラプトは、初期段階のスタートアップ企業や投資家、専門家が一堂に会し、ピッチイベント、著名な最高経営責任者(CEO)や投資家による基調講演、起業家支援セッションやワークショップなどが行われるスタートアップ・カンファレンスだ。
基調講演では、ベンチャーキャピタリストのビノッド・コースラ氏が登壇し、「米政府がすべての上場企業の10%の株式を保有し、その企業利益を国民に還元すべきだ」と提案。批判を受ける可能性を認めつつも、「汎用人工知能(AGI)」がもたらす社会的変化に対応するには、極端な提案も必要だ」と強調した。また、多くのセッションでは、人工知能(AI)活用が企業戦略の中核に位置付けられつつある現状が紹介された。
(左)スタートアップ・ピッチコンテストの様子、(右)会場内の様子(ともにジェトロ撮影)
モビリティ分野では、自動運転技術開発企業のウェイモ(本社:カリフォルニア州マウンテンビュー)、ニューロ(本社:カリフォルニア州マウンテンビュー)、配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズ(本社:カリフォルニア州サンフランシスコ)、新興電気自動車(EV)メーカーのルーシッド(本社:カリフォルニア州ニューアーク)や自動運転用AI開発企業のウェイブ(本社:英国ロンドン)が次世代自動運転をテーマに登壇。特に注目を集めたのは、ウーバー、ルーシッド、ニューロの3社が提携し、自動運転車の共同開発および2026年にサンフランシスコで自動運転配車サービスの開始計画を発表したことだ。サンフランシスコのダニエル・ルーリー市長は「サンフランシスコは今後も新興技術とAIの実証の場であり続ける」と述べ、同市を新技術実証の拠点として再生させる方針を示した。
また、Z世代起業家によるAIスタートアップも注目を集めた。マイクロソフト創業者ビル・ゲイツ氏の末娘、フィービー・ゲイツ氏らが設立したショッピングAI企業フィア(本社:ニューヨーク)は、商品の価格や再販価値、環境負荷まで可視化するツールを発表。AIを活用し、「消費」と「サステナビリティ」を両立する新しい購買体験を提示した。
(左)日本のスタートアップの登壇者たち、(右)日本のスタートアップの展示ブース(ともにジェトロ撮影)
スタートアップのピッチコンテスト「スタートアップ・バトルフィールド」では、米国のグライド・テクノロジーズ(カリフォルニア州シェイバーレイク)が優勝した。同社は、道路と鉄道を自在に走行できる自律型車両を開発しており、既存インフラを活用できることから、物流効率化と脱炭素化の両立を実現する新たな輸送モデルとして高く評価された。
ジェトロは東京都と連携し、日本発スタートアップを支援するジャパンパビリオンを設置。出展ブースには連日多くの来場者が訪れ、関心を集めた。出展した10社(注)は10月27日にピッチイベント「ショーケース」に登壇し、投資家などに自社技術をアピールした。登壇企業からは「初めての経験だったが、ピッチの練習を通じて自信がついた」「サンフランシスコで登壇できたことに価値があった」「多くの人に知ってもらうきっかけになった」など、手応えを感じたとの声が聞かれた。
(注)AI Hikari(AI光)
、Aladdin
、CREATANT
、DELIGHT
、Enju
、Gakugeki Inc.
、mirror mii Inc.
、Polymerize
、Trissino
(リンク先は同社のAI「Steve」)、Wiillow
(松井美樹)
(米国)
ビジネス短信 086be16f3103ac61




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