香港日本人商工会議所が深セン市への視察ミッションを実施
(香港、中国、日本)
香港発
2025年11月20日
香港日本人商工会議所は11月10日、広東・香港・マカオグレーターベイエリア(粤港澳大湾区)内でイノベーション都市として知られる広東省深セン市への視察ミッミッションを実施した。商社、メーカー、金融機関、不動産、通信、運輸などの各業種から会員企業の計35人が参加した。
今回の視察ミッションでは、同市内を走る無人タクシーおよび無人モノレールへの試乗のほか、ドローンおよびヒト型ロボット分野で同市に本社を構える中国メーカーを訪問した。
うち、ドローンメーカーの高巨創新科技開発(Highgreat Technology)では、主に同社製品の機能や用途、開発の歴史などについて説明を受け、実際の動きを視察した。同社の説明によれば、2019年にマイナス30度の環境下でも飛行できる機種が開発されたほか、2023年には地面に貼られたバーコードを認識しながら精緻な場所に着地できる機種も開発され、フードデリバリー、国境・森林パトロールなどさまざまな用途に応じた使用が可能となっているという。また、中国のデリバリーサービス大手の美団が同市で展開するドローンを使ったフードデリバリーサービスについて、実際の配送時の着陸の様子なども視察した。
また、ヒト型ロボットメーカーの優必選科技(UBTECH Robotics)では、同社製のヒト型ロボットが人の指示に従って作動する(冷蔵庫に飲み物を取りに行き、配膳する)様子を視察した。このほか、工場での仕分け作業や検品、イベント時の案内役など、さまざまな需要があるとした。また、搭載されているセンサーやカメラなどの進歩により、ロボットの能力は日々進化しているという。このほか、同社では、技術開発に携わる人材の幼少期からの育成に貢献すべく、人工知能(AI)教育のためのテキスト製作やプログラミング教育などにも力を入れているとした。同社によれば、AI教育は中国内の学校教育にも取り入れられているが、教え方に頭を悩ませている教員も少なくないことから、育成のためのカリキュラムも提供している。
粤港澳大湾区の発展計画綱要では、イノベーションを軸とした成長モデルのもと、2035年までに世界トップクラスのベイエリアの完成を目指している。その中で示された各都市の発展方向性において、深セン市は、世界的影響力のあるイノベーション・クリエーション都市を建設するとされている。
今回の視察ミッションを通じ各分野の技術を目の当たりにした参加者からは、今後いかに自らのビジネスに取り入れることが検討できるのか、もしくはいかに対応していくべきかなど、さまざまな声が聞かれた。
高巨創新科技開発にて説明を受けている様子(ジェトロ撮影)
ドローンによるフードデリバリーの様子(ジェトロ撮影)
無人タクシー内の様子(ジェトロ撮影)
優必選科技にて、ヒト型ロボットによるパフォーマンスの様子(ジェトロ撮影)
(越川剛)
(香港、中国、日本)
ビジネス短信 075cebcd5ab7031e




閉じる
