2025年版IMD世界デジタル競争力ランキングでスイスが首位に浮上、日本は30位
(スイス、世界、日本)
ジュネーブ発
2025年11月06日
スイスの国際経営開発研究所(IMD)は11月4日、9回目となる世界デジタル競争力ランキング2025
を発表した。前年2位だったスイスが1位となり、続く米国は前年の4位から2位に上昇した。前回首位だったシンガポールは3位に後退した。日本は前年調査から1つ順位を上げ、30位となった(添付資料表参照)。
同ランキングは69カ国・地域を対象に、政府・企業・社会の変革につながるデジタル技術を導入・活用する能力を、(1)知識:人材や研修・教育、科学に対する取り組み、(2)技術:規制枠組みと資本、技術的な枠組み、(3)将来への準備:デジタルトランスフォーメーション(DX)に対する社会の準備度合い、の3つの要素からランク付けし評価するもの。これらの各要素は3つのサブ要素に分割され、計9つのサブ要素、61の評価基準で構成される。
項目別にみると、スイスは3要素のうち「知識」は5年連続で首位を維持、「技術」は前年に4位まで上げた順位が7位に後退したが、「将来への準備」が前年の5位から2位に順位を上げた結果、全体順位は前年の2位から首位へと躍り出た。「将来への準備」の上昇は、構成要素全体にわたる改善に支えられており、デジタル変革に高度に備えた社会・ビジネス環境を体現していると分析されている。スイスは、9つのサブ要素のうち8つで上位10位以内にランクされている。特に人材(2位)、ビジネスアジリティ(3位)、研修・教育、技術的な枠組み(ともに5位)、のサブ要素で引き続き高いパフォーマンスを発揮したほか、適応的な態度(Adaptive attitudes)が7位で前年の15位から顕著な改善を示した。さらに、評価基準単位でみると、スイスの強みは人的資本と制度の質に深く根ざしていることがうかがえる。従業員研修の質、科学研究関連法規の有効性、強固な知的財産権、企業と大学間の知識移転における比類なき能力において1位を獲得している。ただし、「技術」要素のわずかな低下は、規制枠組み(7位、前年の2位から後退)と資本(15位、前年の11位から後退)のサブ要素における相対的な低下に起因している。改善が必要な具体的な分野としては、100人当たりの無線ブロードバンド普及率(55位)と契約履行(40位)、論文発表による研究開発生産性(35位)が挙げられている。
日本は、「知識」が前年の31位から大きく順位を上げ23位となったが、「技術」と「将来への準備」がともに順位を1つ下げ、それぞれ27位と39位になった結果、全体順位は前年より1つ高い30位にとどまった。政府による国民向け情報提供を容易にするオンラインサービスの活用(1位)、無線ブロードバンドの普及率(2位)、世界のロボットに占めるシェア(2位)、ソフトウエア違法ダウンロードの割合(2位)、高等教育における教師1人当たりの生徒数(3位)では前回と同様に高評価を得たものの、上級管理職の国際経験(69位)、企業の機会と脅威に対する対応の速さ(69位)、企業の俊敏性(69位)、ビッグデータや分析の活用(67位)は引き続き低評価で前年よりさらに順位を下げた。デジタルスキルの習得(65位)も低評価だったが、前年の67位よりわずかに順位を上げた。
(田中晋)
(スイス、世界、日本)
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