WIPOグローバルイノベーション指数で過去最高位に

(モロッコ)

ラバト発

2025年10月15日

世界知的所有権機関(WIPO)は9月16日、「グローバルイノベーション指数(GII)2025外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。モロッコは前年から9ランク上昇し、139カ国・地域中57位となり、初めてトップ60入りを果たして過去最高を記録した。

GIIは、78の指標を用いて139カ国・地域のグローバルなイノベーションの動向を評価した報告書だ。モロッコは「北アフリカ・西アジア地域で最も急成長した国の1つであり、開発水準に対して期待以上の成果を上げている国」と評価された。今回の躍進の要因は、「商標出願件数」「教育支出」「労働生産性の伸び率」などの指標において高い成果を上げたこととされ、この成果はモロッコ経済が伝統的な産業から多様化された高付加価値経済へ、明確に移行していることを示しているとされた。

分野別には、「ハイテク製造業」で世界12位にランクインした。WIPOはモロッコの経済について、原材料供給や低コスト製造から漸進的に脱却し、より高度な製品の生産へと移行しており、ハイテク製造業は現在同国の製造業全体の生産高の約50%を占めているとしている。また、「GDP比での工業デザイン」では6位、「商標出願件数」では24位、「無形資産強度」では26位と高い評価を得ており、これらの順位はモロッコで民間部門がブランド価値を構築し、バリューチェーンの上位へと移行する力を備えてきていることを示すとしている。「教育支出」では16位、「労働生産性の伸び率」では24位となった。

報告書では、モロッコの今後の課題として、研究開発(R&D)への投資の深化や、大学や公的研究機関と産業界の間のイノベーションに関する連携の強化、インフラの整備を挙げ、投資の強化を通じてイノベーション成果をさらに拡大・持続可能にすることが求められる、としている。

(鈴木優香)

(モロッコ)

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