2025年上半期の貧困率は前年同期比で大幅減少
(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2025年10月01日
アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は9月25日、国内31の都市圏を対象とした世帯アンケート(EPH)に基づく貧困率および極貧率調査の結果を発表した。それによると、2025年上半期の貧困率は31.6%で、前期比で6.5ポイント減、前年同期比で21.3ポイント減と大幅に減少した。極貧率は6.9%で、前期比1.3ポイント減、前年同期比11.2ポイント減少した(添付資料図参照)。ルイス・カプート経済相は「貧困率、極貧率ともに2018年以来の低い水準となった。これら指標を持続的に改善できたのは、マクロ経済の安定化、インフレの抑制、そして仲介者(社会団体など)を介さず、最も脆弱な層を優先した社会保障プログラムによる直接補助を増加させたため」と自身のSNSを通じて述べた。
INDECが半期ごとに発表しているこの調査によると、国内31都市の人口約2,990万人のうち、貧困人口が約950万人、そのうち極貧人口は210万人だった。1世帯当たり(平均約4人で構成)の基礎的全体バスケット(CBT、基礎的食料・住宅・保健・教育・衣類その他の日常的かつ基礎的支出)は、平均106万5,691ペソ(約11万7,226円、1ペソ=約0.11円)で、この金額に満たない収入の世帯・人口を貧困層と見なしている。今回の調査では、貧困世帯の平均収入は67万1,492ペソだった。1世帯当たりの基礎的食料バスケット(CBA、食料のみの基礎的支出)は平均45万2,742ペソで、この金額に満たない収入の世帯・人口を極貧層としている。極貧層世帯の平均収入は28万1,313ペソにとどまった。
年齢層別にみると、全ての年齢層において貧困率は前期比、前年同期比で大幅に減少した。0~14歳は45.4%で、前期に比べると減少しているが、依然として高水準だ(添付資料表参照)。15~29歳の年齢層は37.0%、30~64歳は27.7%、65歳以上は10.8%だった。地域別では、アルゼンチン北西部の貧困率が39.0%で全調査対象地域の平均値を上回った。
他方、アルゼンチン・カトリック大学社会負債調査研究所(ODSA)の専門家は、INDECが公表している貧困率の測定方法は見直されるべきだと主張した。CBTおよびCBAの計算に使われる項目は時代やアルゼンチン経済の現状とともに変化し、更新する必要があるとしている。実際に貧困は減少しているものの、INDECが公表している貧困率の低下は過大に表れている可能性があると指摘している(2025年9月25日付現地紙「インフォバエ」電子版)。
(山木シルビア)
(アルゼンチン)
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