山東省、日系企業との対話会で経営課題を原則1カ月以内に解決する方針を示す

(中国、日本)

青島発

2025年10月17日

ジェトロは1010日、中国国際貿易促進委員会(CCPIT)山東省委員会と共催で「ビジネス環境改善に向けた政経対話会2025(山東省・日本企業セッション)」を同省青島市で開催した。日本側からは斎藤憲二・駐青島総領事や省内の日系企業9社の代表、山東省側からは宋軍継・副省長や省政府の外事弁公室、工業・情報化庁、公安庁など12の関係部門の責任者が参加し、日系企業の経営課題について集中的に協議した。

対話会では、ジェトロ青島事務所が「山東省進出日系企業へのビジネス環境に係るアンケート」の結果を紹介したほか、日系企業代表とともに、山東省での投資経営において直面している25件の具体的な課題と産業協力の提案を提示した。政府の補助金政策、交通インフラ整備、人材採用、居留手続き簡素化など、広範囲にわたる課題に言及した。

特に注目されたのは、実務的な経営環境改善に関する要望だ。中国の大企業による売掛金未払い問題、自動車産業の新エネルギー転換への対応、製造業の労働力不足、大気汚染対策に伴う生産管理の柔軟化など、企業経営に直結した課題が集中的に提起された。

これに対し、山東省関係部門の責任者は、提示された課題について速やかなフォローアップと解決を約束した。また、公安庁は外国人居留手続きのデジタル化推進、工業情報化庁は設備投資補助政策の具体的内容、人力資源社会保障庁は人材供給メカニズムの拡充など、それぞれが実行可能な支援策を示唆した。

本対話会は、山東省のビジネス環境改善や省政府と日系企業間のコミュニケーション強化を目指しており、2021年の初開催以来4回目となる。これまでに日本側から40件の課題や要望を提起し、省政府は日系企業のより良い経営発展を支援する姿勢を一貫して保っている。

山東省の宋副省長は総括発言において、省政府の日系企業に対する継続的な支援姿勢をあらためて表明し、原則として1カ月以内に課題を解決するように努め、短期的に解決できない課題は2カ月以内に方針を提示するとした。また、本対話会で提起された課題については、会議後まとめて書面で日本側にフィードバックすると述べた。今後、各課題の解決状況が、山東省のビジネス環境を測る上で重要な指標となるだろう。

写真 対話会の様子(ジェトロ撮影)

対話会の様子(ジェトロ撮影)

(皆川幸夫)

(中国、日本)

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