モスクワで「HINODE JAPAN」開催、日本文化に熱視線
(ロシア、日本)
調査部欧州課
2025年10月23日
ロシアの首都モスクワで10月18、19日に日本のポップカルチャーを紹介するイベント「HINODE JAPAN」が開催され、多くの参加者でにぎわった。新型コロナ感染症拡大などによる中断を経て、今回が再開後2年連続の対面開催となった。
主催者によると、会場には約8,000人が来場した。日本のアニメや音楽、ゲーム、伝統文化など多彩なコンテンツが披露され、来場者から高い評価を受けた。特にラーメンや、すしなどの日本食の販売ブースや、日本人アーティストによるサイン会には長蛇の列ができ、関心の高さがうかがえた。2024年と比べて参加者が大幅に増えたことについて来場者からは「今年のほうがにぎやかで楽しい」といった声が多く聞かれた。また、コスプレを楽しむ若者たちも会場の環境を高く評価しており、「今年の会場は明るくて、蒸し暑くなくて快適だ」と話していた。
会場の風景(ジェトロ撮影)
日本文化はファン層が厚いのが強み
HINODEが2024年11月に開催された際には、「HINODE東方文化フェスティバル」と、それまでのように日本を前面に打ち出した名称ではなくなっていた(2024年12月3日記事参照)。今回、「HINODE JAPAN」と再び日本をタイトルに入れた理由について、主催したジャパンハウスの遠藤伊緒里取締役は「やはり日本人として、日本の文化を伝えたかった」と話す。
1年前に5年ぶりの対面でのイベントを再開した際には、「非友好国」である日本をどのように見せてよいのか迷いがあり、あえて日本だけを出すことはせず、中国や韓国も紹介するという体を取った。しかし、実際にやってみて、「自分たちができるのは日本の紹介である」との思いに至り、今年は再び日本を前面に出すスタイルに戻すことを決めたという。
遠藤氏は、「注目度でいうと、ロシアでは韓国のポップカルチャーがナンバーワン」と話す。日本のみが特に関心を持たれているという状況ではない。しかし、ロシアで日本人気は長い年月をかけて築かれてきた。親が武道や着物に関心があり、子供が日本のアニメに夢中といった家族は少なくないという。今回のHINODE JAPANにも親子で楽しむ姿が見られた。
全ロシア世論調査センター(VCIOM)が9月8日に発表した調査によると、14歳から35歳までを対象に日中韓3カ国の中で最も文化に関心のある国を聞いたところ、1位は36%を獲得した日本だった。主な関心の理由として「日本食」が挙げられた。ポップカルチャーに限定すると韓国の人気上昇は目覚ましいが、文化全体としてみた場合、日本への関心は根強い。
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