グーグル、新たな海底ケーブルプロジェクト含むアフリカへのAI投資を発表
(南アフリカ共和国、アフリカ)
ヨハネスブルク発
2025年10月01日
米国テクノロジー大手のグーグル(Google)は9月19日、アフリカでの人工知能(AI)技術を加速させるため、特に増加する若年層にターゲットを当てた新たな投資を発表した。
具体的には、アフリカ東西南北の各地域に合計4カ所の海底ケーブル接続ハブを設置し、同社のインフラ整備プログラム「アフリカ・コネクト」を拡充する。過去には、アフリカと欧州を結ぶエクイアーノ・ケーブル(注1)や、アフリカとオーストラリアを結ぶ初の光ファイバールート「ウモジャ(注2)」などのプロジェクトが実施されてきた。そのほか、2024年2月には南アフリカ共和国のヨハネスブルクに「グーグル・クラウド・リージョン」を開設し、経済成長の促進、クラウドインフラの強化、AIイノベーションの推進が図られ、南アはアフリカ大陸の主要技術ハブとして恩恵を受けてきた。
発表によると、今回の投資はアフリカ域内外との間に新たなデジタル回廊を創出し、最終的には国際的な接続性と強靭性を深化させ、経済成長と機会創出を促進することを目的にしている。
同社は、今後1年間でアフリカの大学を対象にAI研究・研修に900万ドルを投資する。これは、2025年7月に発表されたアフリカ全域向け3,700万ドルの支援パッケージに続くものだ。同社は、これまで南アのウィッツ大学MIND研究所とプレトリア大学アフリカデータ科学・人工知能研究所(AfriDSAI)へ研究助成金として100万ドルを支援したほか、マサカネ研究財団に300万ドルを支援し、40以上のアフリカ言語における自然言語処理を進めてきた。
また、エジプト、ガーナ、ケニア、モロッコ、ナイジェリア、ルワンダ、南ア、ジンバブエの大学生を対象に、「Google AI Pro」のサブスクリプションを1年間無料で提供する。学生が「Gemini 2.5 Pro」や「Deep Research」などのツールを活用し、研究、問題解決、コーディング、コンテンツ作成に取り組むことを支援する。
同社は2021年、今後5年間で10億ドルを投資すると発表していたが、既に達成したとし、2030年までに5億人のアフリカ人にAIを活用したイノベーションを届けることを目指すとした。
(注1)Googleの全額出資によって敷設された海底ケーブル。アフリカ西海岸に沿ってポルトガルから南アまでを結ぶ。
(注2)スワヒリ語で「団結」を意味する。南アのほか、ケニア、ウガンダ、ルワンダ、コンゴ民主共和国、ザンビア、ジンバブエを経由する。
(トラスト・ムブトゥンガイ、多崎央)
(南アフリカ共和国、アフリカ)
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