モルドバが単一ユーロ決済圏に加盟

(モルドバ、欧州)

調査部欧州課

2025年10月14日

モルドバ中央銀行は10月6日、同国が単一ユーロ決済圏(SEPA)に同日加盟したと発表した。加盟により、国内決済と同様にSEPA加盟国間で低コストのユーロ建て決済が可能になる。SEPAにはEU加盟国や英国、スイスなどが加盟し、モルドバの加盟で加盟国数は計42カ国となった。

SEPA加盟のメリットは、個人と企業の両方に及ぶ。モルドバでは多くの国民が国外で働き、家族への送金を通じて国内経済を支えている。SEPA加盟国在住の国民は低コストでモルドバに送金できるようになり、同国内収入が増えることが見込まれる。モルドバ中銀によると、ユーロ建て送金にかかっていた20~200ユーロの手数料が数ユーロまたは無料になるという。企業にとっても、モルドバの輸出の6割超をEU向けが占めることから、取引に係るコストが低くなることで企業競争力が高まり、貿易や投資を促進する効果があるとした。

モルドバ中銀のアンカ・ドラグ総裁は、加盟に当たり公表したメッセージの中で、SEPA加盟がモルドバのEU加盟への道筋を確固たるものにするとともに、同国の金融システムが安定しており、欧州の基準に合致していることを示すことで、投資家に対して信頼できる国というシグナルを送る意味合いを持つと評価した。

モルドバ中銀によると、2024年1月に同国が欧州決済評議会(EPC)にSEPAへの加盟申請書を提出し、加盟手続きが始まった。EPCは2025年3月6日、同国の金融システムに健全性および規制の枠組みを欧州基準に適合させるうえで大きな進歩があったとし、加盟を承認した。

(浅元薫哉)

(モルドバ、欧州)

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