仙台市で高度外国人材活躍推進セミナー開催、成功事例を紹介
(日本)
知的資産部高度外国人材課
2025年10月21日
仙台市と東北高度外国人材活躍推進コンソーシアム(注)は9月29日、高度外国人材の採用に関心を持つ企業に向けて、「地域企業の新たな力に!~高度外国人材活躍推進セミナー」を開催した。東北域内の企業の採用担当者や経営者などを中心に、会場参加とオンライン合わせて82人が参加した。
仙台市によると、同市内の外国人住民のうち、2025年4月時点で「留学」の在留資格を有する外国人は6,192人に達しており、東北地方でも留学生が集中する地域だ。セミナーでは、関西地域で外国人留学生の採用・定着支援に実績のあるジェトロ高度外国人材スペシャリストの吉田圭輔氏が高度外国人材採用に関する解説を行った。
吉田氏はまず、外国人材について、新規事業展開やイノベーション、組織内活性化などさまざまな事業メリットをもたらす「人的資本」として認識することを挙げた。これにより、事業メリットと育成にかかるコストを比較した上で、採用に関する判断を行うことができるとした。また、自社が求める役割に合わせて高度外国人材と特定技能人材を選択・採用する重要性にも触れた。
吉田氏の講演(仙台市撮影)
続いて、採用の成功や失敗の事例を交えながら、「人材の定着をゴールに据えること」や「企業が発信する情報と外国人材が求める情報とのミスマッチへの意識」の重要性について説明があった。後者については、外国人材が求める情報として、採用の経験やジョブ型採用や教育システムなど外国人材が定着しやすい体制の有無などが挙げられた。さらに、現時点の日本語能力にとらわれず、母国への貢献など具体的な目標を持つ留学生を確保することが肝要で、交流会などを企画し、学生との接点を増やす活動が推奨されると述べた。
他方、日本の慣習や職場文化を知らないことが離職につながるケースもあるとした。事前に日本語教育の中にケーススタディーとして組み込むことで、トラブルを防ぐことができるとした。
参加企業からは、「一般的な制度論にとどまらず、高度人材に関するウェブ上では得られない情報も多く、新たな気付きを得る貴重な機会となった」との声が寄せられた。
(注)地元企業の海外展開促進や地域経済の活性化を目的に、大学や経済団体、企業、金融機関、自治体など関係機関が連携し、地域での高度外国人材の採用を促進する取り組み。東北地域では東北経済産業局、東北大学、ジェトロが事務局を担っている。
(大野宏征)
(日本)
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