サウジアラビア政府、2026年国家予算編成案を発表

(サウジアラビア)

リヤド発

2025年10月07日

サウジアラビア政府は9月30日、2026年国家予算編成案PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。2026年の歳出見込み額は1兆3,130億リヤル(約52兆5,200億円、1リヤル=約40円)で、2025年予算編成時比2.2%増、2025年歳出実績見込み比1.7%減となった。一方、歳入見込み額は1兆1,470億リヤルで、2025年予算編成時比3.1%減、2025年歳入実績見込み比5.1%増となった。財政赤字については、GDP全体の約3.3%の1,650億リヤルと試算した(添付資料表参照)。

2025年のGDP成長率は、非石油部門の5.0%のプラス成長に支えられ、4.4%を見込む。労働市場の指標にも良好な影響を与え、2025年第2四半期(4~6月)のサウジアラビア人の失業率は6.8%と、2024年第2四半期の7.1%を下回った。また、2025年第2四半期のサウジアラビア人女性の労働参加率は34.5%まで達した(2025年5月15日記事参照)。

ムハンマド・ビン・アブドゥッラー・アール・ジャドアーン財務相は、財政基盤を固め、公共財政の持続可能性を確保するとともに、経済成長支援のため、開発・社会支出の優先事項を維持することを約束した。また、財政・経済の効率性と持続可能性を高める構造改革の推進を確実にすると強調した。同財務相は「2026年と中期的な期間に、地政学的緊張の継続や予防的政策の増加の可能性により、世界的に不確実性が続くことが見込まれる。政府は金融計画の効率性向上への重要な要素として、これらのリスクを継続的に監視・分析するとともに、潜在的な世界経済の課題に対処し、その影響を軽減する政策を積極的に推進している」と述べた。

政府は持続可能な成長を達成するため、戦略的な支出増加を継続する政策を行うとしている。2026年と中期的に債券・スクーク(注)・融資の適正なコストでの発行を通じ、国内外の公的・民間資金調達活動を継続する意向だ。加えて、プロジェクトファイナンス、インフラファイナンス、輸出信用機関を通じた政府の資金調達活動の拡大を図る方針を示した〔9月30日付サウジアラビア国営通信社(SPA)〕。

(注)スクーク(イスラム債)とは、利子を生じさせる社債を取り扱うことができないイスラムの投資家や発行体でも取り扱うことができる、イスラム法を順守した金融商品。

(平田若菜)

(サウジアラビア)

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