国際知的財産保護フォーラム(IIPPF)、eBayと意見交換会を実施

(米国、日本)

知的資産部知的財産課

2025年10月30日

ジェトロが事務局を務める「国際知的財産保護フォーラム(IIPPF」のインターネットプロジェクトチーム(注1)は1022日、米国Eコマース大手イーベイ(eBay、注2)との意見交換会を開催した。IIPPFの参加企業・団体がハイブリッドで参加し、イーベイ本社の知的財産保護担当者がオンラインで参加した。IIPPFでは、これまで同社の日本法人とは交流があったが、今回初めてイーベイの米国本社の知的財産保護担当者と意見交換会を実施した。

写真 意見交換会の会場(ジェトロ撮影)

意見交換会の会場(ジェトロ撮影)

意見交換会はで、イーベイから、同社が取り組んでいる知財保護の戦略について説明があり、その後、参加企業・団体の権利者の質問にイーベイ側が回答するかたちで開催された。

イーベイの説明によると、イーベイでは「VeRO」(Verified Rights Owners program)という権利者用のプログラムを提供しており、権利者はVeRO上でユーザーアカウントを作成し、自身の知的財産を登録することができる。VeROに登録した権利者は自社の知的財産権の侵害となり得るイーベイ上の出品商品に対し、VeROを通じて通報できる。VeROは商標権・著作権・特許権の侵害や、並行輸入品、繰り返しの違反に対応しており、違反を行った出品者については、商品の削除・警告・出品制限・アカウントの利用停止といった罰則が取られる。

VeROは権利者からの報告のみならず、フィルタリングアルゴリズムによってイーベイの利用者規約を違反している商品の審査・検索も行っており、これまで知的財産権侵害による違反で阻止された件数は4,500万件に上る。

写真 イーベイ担当者のオンラインでの発表(ジェトロ撮影)

イーベイ担当者のオンラインでの発表(ジェトロ撮影)

質疑応答では、IIPPFインターネットプロジェクトチームの参加者から事前に寄せられた18問について、「知財保護プログラムと削除申請の方法」「再犯者への罰則」「セラーの事前審査と情報開示」「各国イーベイサイトの関連性」「出品画像」「商標権侵害以外の扱い」という6つのカテゴリーに分類し、カテゴリーごとにイーベイ側から回答後、追加の質疑応答も募集するかたちで進行した。事前質問やその場の質問のいずれにも丁寧な回答があり、参加者からは、「イーベイのブランド保護体制について理解を深めることができた」「こちらの質問に対しても真摯(しんし)に答えてもらえた」といった満足の声が多かった。

(注1)IIPPFは2002年4月に、模倣品・海賊版など海外での知的財産権侵害問題の解決への意欲を有する企業・団体によって設立され、2025年6月時点で212社・72団体が参加している。地域・分野別の各プロジェクトチームでは、海外の政府機関や海外ECプラットフォーマーなどとの意見交換会を実施している。インターネット上の知的財産権侵害に関して調査・研究を行うインターネットプロジェクトや、中国など特定の地域の模倣品対策に取り組む中国プロジェクトなど、複数のプロジェクトチームがある。

(注2)イーベイは、1995年に米国カリフォルニア州サンノゼで創業したオンラインショッピングプラットフォーム。190カ国・地域以上で展開し、個人・企業が商品を出品できるほか、オークション形式や即決価格形式のいずれにも対応している。同社の2024年の決算資料によると、全世界のアクティブバイヤー数は1億3,400万人、総出品数は23億点、総取引高は約750億ドル。米国のイーベイ・ドッドコム(ebay.com)の出品物のうち中古品率は約50%だが、日本からの出品物は中古品が65%を占め、個人コレクター向けのコンテンツIP(知的財産)商品などが他国のイーベイのEC(電子商取引)プラットフォームよりも多い傾向にある。また、イーベイ・ジャパンは、イーベイの日本法人として、オンライン・マーケットプレイス「eBay」を通じた日本セラーの「越境EC」支援を行っている。

(泉高晟)

(米国、日本)

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