「中央アジア・ロシア」サミット、貿易、産業協力、輸送ルート整備が議論の中心
(ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ロシア)
タシケント発
2025年10月17日
「中央アジア・ロシア」サミットが10月9日、タジキスタンの首都ドゥシャンベで開催された。同サミットは2022年10月にカザフスタンのアスタナで初めて開かれて以来の2回目で、中央アジア各国とロシアによる経済連携の深化や新産業分野での協力、貿易・物流障壁の除去などで合意した。
サミットには、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領、カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領、キルギスのサディル・ジャパロフ大統領、タジキスタンのエモマリ・ラフモン大統領、トルクメニスタンのセルダル・ベルディムハメドフ大統領、ウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領が参加した。サミット後に共同声明を採択したほか、2025年から2027年までの共同行動計画に署名した。共同行動計画には50以上の活動が含まれ、その成果は2027年に開催される第3回中央アジア・ロシアのサミットで発表される予定だ。
経済協力の最も重要な優先事項として、貿易量の増加と貿易障壁の撤廃、貿易品目の拡大に合意した。ただし、具体的な計画には言及していないもようだ。プーチン大統領によると、2024年のロシアと中央アジアの貿易額は450億ドルを超え、ロシアによるウクライナ侵攻前の2021年の370億ドルより21.6%ほど増加した。
加えて、新しい物流・輸送ルートの構築、特にロシアが推進する「南北輸送回廊」(注1)と「東西輸送回廊」(注2)の整備が議論された。プーチン大統領は、これらルートを含む複数の輸送・物流ネットワークについて、最新の電子サービスや輸送サービスを活用して単一のネットワークに統合することを提案した。トカエフ大統領は、2027年までに南北輸送回廊の東部ルートの輸送能力を現在の250万トンから倍増させる計画を発表した。
産業協力についても合意した。トカエフ大統領は、中央アジアの貿易・工業地帯や産業ハブの形成プロジェクトにロシア企業の参加を訴えた。ミルジヨエフ大統領は、機械製造や精密機器製造、化学、電気技術などの分野で産業協力の深化を支持し、ウズベキスタンのブハラ市に「中央アジア・ロシア」産業エンジニアリングハブを創設するとも発表した。
(注1)イランなどを経由してインドとロシアを結ぶ輸送網。
(注2)ロシア極東と欧州を結ぶ輸送網。中国やモンゴル、カザフスタンにも接続する。
(ウラジミル・スタノフォフ)
(ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ロシア)
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