大阪でメルボルンのビジネスフォーラム開催、万博を契機に

(日本、オーストラリア)

大阪本部海外ビジネス推進課

2025年10月10日

大阪市とオーストラリア・メルボルン市は926日、大阪・関西万博とビジネスパートナー都市(BPC、注)ラウンドテーブルの開催に合わせ、メルボルン市ミッション団を迎え、大阪でビジネスフォーラムを開催した。

大阪市とメルボルン市は1978年に姉妹都市提携を締結している。メルボルン市議会のケビン・ルーイ議員は冒頭のあいさつで、同市の魅力と日本との関係について言及した。メルボルンには自動車のほか、食品、航空、ITなど多数の分野で日本企業が進出している。メルボルンの魅力として、(1)オーストラリアで最も急速に成長している都市であること、(2)世界トップ50以内の優秀な大学が2校あり、ヘルスケアや人工知能(AI)、クリーンエネルギーなどの分野でのイノベーション創出に力を入れていること、(3)住生活環境が整っており、熟練した才能ある人材を囲い込む力があることなどを挙げた。

写真 あいさつするケビン・ルーイ議員(ジェトロ撮影)

あいさつするケビン・ルーイ議員(ジェトロ撮影)

大阪市経済戦略局の和田彩理事は、「両市は姉妹都市提携に加え、1999年にBPC提携を締結し、幅広い分野で交流を重ねてきた。両市には海や川とともに成長してきたことなど、多くの共通点がある」と述べた。大阪商工会議所(OCCI)の根来宜克国際部長は、OCCIとメルボルンの交流について説明。OCCIとメルボルン商工会議所は1983年に連携協定を結んで以降、交流を深めている。OCCIは、メルボルン市に本社を置く世界的な医療・バイオテクノロジー・健康分野のスタートアップ支援組織メドテック・アクチュエーター(MTAC)と長年連携しているが、2024年3月に事業協力強化に向けた包括連携協定を締結し、同社の同年11月の大阪拠点の設立を支援した。今後の交流計画として、2025年10月にOCCI情報・通信部会が現地にミッションを派遣する予定という。

基調講演では、MTACのバズ・パーマーCEO(最高経営責任者)が登壇し、同社の大阪進出の理由として、マーケット規模が手頃で、人々が協力的であるほか、エコシステムが整っており、同社が求める条件を満たしていることをあげた。また、両都市は成果創出に向けた連携を重視する共通の価値観を持つことが決め手になったと語った。

写真 講演するバズ・パーマーCEO(ジェトロ撮影)

講演するバズ・パーマーCEO(ジェトロ撮影)

このほか、メルボルン企業を紹介するセッションでは、補聴器の研究開発、臨床試験支援、AIを用いた臨床試験の統計学的検証サービス、ペット関連製品、Eコマース・POS・デジタルマーケティング、不動産開発、建築設計・都市デザイン、投資ファンドなどの分野の企業8社が登壇した。セミナー終了後には、ネットワーキング交流会が行われた。

写真 企業紹介セッションの様子(ジェトロ撮影)

企業紹介セッションの様子(ジェトロ撮影)

(注)BPC提携とは、アジア太平洋地域を中心とした経済ネットワークを構築するため、大阪市が1988年に始めた都市提携で、自治体のリーダーシップの下、民間レベルでの国際経済交流を促進するもの。現在の提携都市は欧州地域を含めて15都市に上る(大阪市を含む)。この経済ネットワークを活用して、大阪の中小企業の国際化や活性化を図り、BPC提携都市間の経済交流を通じた相互発展をめざしている。

(齋藤寛)

(日本、オーストラリア)

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